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2020/11/09開催 SOCIAL INNOVATION WEEK 「ファッション&ビューティ業界におけるDXの行く末とは?」|イベントレポート

※こちらは2020年12月27日に執筆した記事です。

はじめに

東京・渋谷を舞台に、2020年11月7日〜15日にわたって開催された国内最大級のソーシャルデザインをテーマにしたイベント「SOCIAL INNOVATION WEEK 2020」。

起業家やクリエイター、ユニークな事業を手がける企業などが集まる輪の中にランチェスターも加わり、代表の田代が講演を行いました。

ランチェスターが参加したのは、ファッション&ビューティ週間紙「WWDジャパン」が主催する「ファッション&ビューティ業界におけるDXの行く末とは?」と題したプログラムです。

コロナ禍でこれまで以上に重要性が増しているデジタル戦略はどうあるべきなのか。当日の模様をレポートします。

大規模な再開発が急ピッチで進む東京・渋谷。
11月9日、再開発プロジェクトで新たに建設された高層ビル「渋谷ストリーム」に、デジタル業界を牽引するキーパーソンたちが集まっていました。

WWDジャパンが主催する「ファッション&ビューティ業界におけるDXの行く末とは?」と題したプログラムに参加するためです。

私たちランチェスターもその一員として会場にブースを出展。6月にリブランディングの末にローンチしたアプリプラットフォーム「MGRe(メグリ)」を来場者にPRするとともに、田代がアパレル・美容業界のデジタル戦略について講演し、アプリを使う重要性を熱く語りました。
「MGRe」は、アプリの開発から運用、分析までワンストップで支援するアプリプラットフォームです。ECサイトと店舗をアプリでつなぎ、SNSやブログ、メールマガジンなどのコンテンツを集約。
さらに会員証やポイントシステムも統一するなど、シームレスな顧客体験を実現することができるサービスです。
名称は、企業ミッションの「企業と顧客のより良い関係を支える」を英訳した「Make Good Relationship」の頭文字から名付けました。

ランチェスターは2007年の創業後、2010年にANA(全日本空輸)のアプリ開発に携わり、2013年には「無印良品」のアプリ「MUJI passport」も立ち上げから支援。
数々のアプリ開発に携わる中、2017年にそれまでのノウハウを結集してアプリプラットフォーム「EAP」をローンチしました。そのシステムを大幅にアップデートしたのが「MGRe」です。
現在、多くのアパレルやビューティ企業に導入いただいております。

「MGRe」のサービス内容については最後に詳しくご紹介します。
ここからは、田代の講演内容を中心に、アパレルやビューティ業界におけるアプリを使ったデジタル戦略のあり方について解説していきます。

「ブランドの世界への入口に」
アプリをデジタル戦略の柱に据えるメリットは?

「アプリはブランドの世界への入口になる」。田代をこう口火を切って、熱っぽく語り出しました。
「そもそも、デジタル戦略を進めるうえで、なぜアプリが重要な役割を果たすのでしょうか。社内向けにアプリ導入の必要性を訴えても、「なぜアプリなのか」「アプリだからこそできることは何なのか」、うまく説明できずにいらっしゃる方も多いと思います。
アプリが重要な理由、アプリが生み出す循環。それを簡潔にまとめたのがこちらです。

アプリのメリットとしてまず挙げられるのが、すでにあるサービスやコンテンツを1つのアプリ内に統合できることです。そして、より良い顧客体験を生み出し、お客様と継続的にコミュニケーションを取りながら顧客理解を深めていくことができます。
その結果、どんなことが起きるか。リピーター化し、購買単価が増え、ライフタイムバリュー(LTV)がアップする。そうして事業そのものの成長につながっていくことが期待できるのです。
ここからは、その流れについてさらに詳しく説明していきましょう。
まず、サービスやコンテンツの統合についてです。これは、「MGRe」をご利用いただいているTHE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)のアプリです。

ご覧のように、ザ・ノース・フェイスはECや会員証、ポイントシステムなどのサービスと、InstagramやYouTubeなどのコンテンツを1つのアプリ内にまとめています。こうすることで、アプリだけでそれぞれのチャネルをまたがって顧客認知ができ、行動データを集めることができるようになります。
ただ、このときに注意していただきたことがあります。
単にコンテンツを集約するだけでは効果は限定的です。大事なのは、コンテンツもアプリネイティブにすることです。中にはリンクを貼ってるだけのケースも見受けられますが、それではInstagramなどの別のアプリに遷移してしまったり、YouTubeのまったく関係ないコンテンツに流れてしまったりするリスクがあります。
せっかくその企業やブランドに興味を持ってアプリを使ってくれているのに、もったいないですよね。目的と顧客体験をしっかり考え、アプリ内をスムースに回遊しながらいろんなコンテンツを見られるように、しっかりつくり込む必要があるのです。
アプリはUX(ユーザーエクスペリエンス)が優れているので、しっかりつくり込めばより良い顧客体験を提供できるメリットがあります。

シングルサインオン(SSO)と呼ばれる機能もそうです。これは、アプリで一度会員登録・ログインしていただければ、2回目以降は自動でログインできる機能です。
アプリ内でほしい商品を見つけ、カートに入れて決済する。この流れの途中で一度でも「ログインしてください」という表示が出ると、コンバージョンは下がってしまいますよね。お客様にとってアプリ内で何度もログインを求められるのは、UXとしては望ましくありません。
ただ、シングルサインオン機能を搭載すれば再ログインする必要がなくなります。つまり、コンバージョンやECの売上アップに貢献できるのです。

リアル店舗で求められるUXも同様です。店舗でよくあるトラブルには、「会員証がどこにあるかわからない」「電波が悪く会員証を表示できない」といった問題があり、スタッフがそれに対応している間にレジ前に会計待ちの列ができてしまうケースがあります。
ただ、アプリは「店舗では会員証を自動で表示する」「電波が届かなくてもバーコードを表示する」といった機能を加えることができるので、店舗のトラブル解決にも役立ちます。こうしたUXを実現することで、店舗スタッフの負担はかなり軽減されます。
冒頭で「アプリはブランドの世界への入口になる」とお話したのは、このように1つのアプリで店舗やEC、SNSなどいろんなチャネルをつなぎながら、顧客体験をつくることができるからです。そして、そこで得られた行動データをもとに顧客の特性に合わせた最適なコミュニケーションを行い、顧客理解を深めることでさらにより良い顧客体験が提供できるようになる。そういう好循環が生まれていきます。

その先にあるのはリピーター化、そしてライフタイムバリューの向上です。そのようにして最終的にビジネスの成長につなげていく。アプリをデジタル戦略の中心に据えることで、そうした未来が開ける可能性があるのです。

「MGRe」からECへのアクセス数が55%増加
急激にデジタルシフトする顧客行動

そうした中、デジタル業界に大きな波が押し寄せました。新型コロナウイルスの感染拡大です。これによって生活者の行動はオンラインへと大きくシフトし、企業によるデジタル戦略の重要性もますます増しています。
アプリをめぐる状況も変化しています。アプリ市場データの分析に詳しいアメリカ企業APP Annieが2020年上半期のモバイル市場における消費者行動の変化を調査したところ、ピーク月のアプリの全世界ダウンロード数は2019年下半期に比べて25%増加。さらに、2020年4月の1日当たりの平均モバイル利用時間は4.3時間となり、コロナ前から17%増えました。
これは全世界を対象にした調査なので、ASEANなどスマホの利用率が急激に上昇している地域だけでなく、日本を含めてすでにスマホが普及しているエリアでも、コロナの影響でスマホやアプリを利用する機会が増えていることがわかります。
また、私たちの「MGRe」を導入いただいている企業さまにも変化が起きています。緊急事態宣言が発令される前後の3月と4月の顧客行動サマリーを比較したところ、ステイホームの時間が急激に増えた4月は、店舗でポイントカードとして使う会員証ページへのアクセス数が最大54%減少しました。対照的に、アプリ内のECへのアクセスは55%増加しました。
アプリそのものの月間利用者数はどうだったかというと、4月は減少しましたが、5月は一転して増加し、6月以降は緊急事態宣言前の3月のアクセス数を超える水準にまで増えています。お客様が少しずつ店頭に戻ってきていることもありますが、それ以上に店舗以外での利用シーンが増えているのでしょう。

このように、コロナ禍で生活者の行動やアプリの利用に関して変化が生まれていることが、データを見ても明らかになっているのです。

企業もデジタル接点を増加
普及が進むデジタル接客

こうした生活者の行動変化に合わせて、アパレルやリテール企業さまもいろんなチャレンジを試みています。ここでは、コロナ禍で一気に普及した「デジタル接客」の事例を紹介していきます。
最初に、阪急阪神百貨店さんです。同社はLINEやZoomを使ったオンライン接客に加え、店舗の在庫を来店せずに購入できる「Remo Order(リモオーダー)」と呼ばれるサービスを組み合わせることで、購入したい商品を来店せずにスマホ決済できるようにしたのです。
同じリテールのビックカメラはその逆で、店舗とは別の場所にいる販売員が、売場のモニターを通して来店したお客様に商品説明を行う接客スタイルを導入しました。お客様にとっては、対面の接客を避けながら実物をチェックできる。お店にとっても、安全性を確保しつつ売上アップにつなげられる。そんなユニークな施策です。

アパレル企業の取り組みで目立ったのが、ライブコマース・動画コマースです。例えば、ビームスさんはオフィシャルサイト内の特設ページで初のライブコマースを実施したところ、6000人を超える視聴者が集まり、約1時間の配信で100万円弱を売り上げたそうです。
「ニコアンド」などを手がけるアダストリアさんも、オンライン接客でECの売上アップに成功しています。ショップスタッフが店舗や個人のInstagramアカウントでライブ配信を行い、さらに閲覧者からのコメントに対してリアルタイムで着回しの提案を行うなどして、店舗さながらの接客をオンライン上で実現させました。
さらに、Instagramの投稿動画をアーカイブして配信し、商品画像をクリックすると自社ECサイトで購入できるようにする「.st CHANNEL」(ドットエスティ・チャンネル)もスタートさせています。
こうした動きから、どんなことが分析できるのか。要は、あらゆる顧客接点が強制的にオンラインに移行していることがわかります。

こちらの図は、オムニチャネルなどについて説明するときによく使われる図です。オンラインとオフラインのチャネルを行き来しながら、商品の購入やアフターフォローにつながっている流れですが、このコロナ禍によって「認知」や「検討」の段階もオンラインに偏り、オフラインがバッサリなくなってしまったのです。
こうした状況で求められる接客スタイルは何なのか。それは、店舗への来店を最小限にしたい、あるいは来店せずに済ませたいというニーズが生まれている中で、来店しないとできなかったことすらオンラインで済まられるようになることが求められているのです。 今起きているのは、接客のデジタル化ニーズの急速な高まりです。
ただ、状況は激変しているように見えますが、顧客との接点が変わってもその先は同じです。
オンライン上で、顧客とつながるための接点をつくる。顧客を認知し、継続してコミュニケーションをとる。そして、行動データから顧客理解を深める。重要なのは、このステップや仕組みをどこまで意識し、実践できるかです。
デジタル化の波はコロナで加速した面はありますが、それは何も突然押し寄せてきたわけではなく、10年前ほどからずっと続いていることです。むしろ、今までデジタル化に乗り遅れていた企業にとっては、今が変革するチャンスでもあります。
今からでも決して遅くありません。そして、そのときにはぜひアプリを中心に据えたデジタル戦略を進めていただくのがいいと思います。理由はすでにお話しした通りですが、アプリにはより良い顧客体験をつくるために必要な機能が揃っていて、うまく活用することで事業の成長に貢献できるからです。

開発・運用・分析をワンストップで提供
ダウンロード数ではなく、ユーザー数の課金方式

それでは、最後に改めて私たちのアプリプラットフォーム「MGRe」の詳しい紹介をさせていただきます。
冒頭で説明させていただいた通り、「MGRe」は開発から運用、さらには顧客の行動データを分析してより良い施策を実行していくところまでをワンストップで提供できるサービスです。
ビジュアルにこだわるアパレルや美容系のお客様にも数多くご利用いただいているように、ブランドイメージや目的に合わせて柔軟なデザイン設定ができます。また、ECへの自動ログイン機能など、ECや店舗のUXを改善する利便性の高い標準機能を備えているのも特徴です。さらに、OSや機能が自動で更新されるオートアップデート機能も搭載しています。OSがアップデートされるたびに対応しなければならない。その手間が省くことができます。

先ほど運用や分析のサポートも行っているとお話しましたが、それを担うのはカスタマーサクセスの専門チームです。自社にアプリ専任の担当者がいなくても、このカスタマーサクセスチームが他社の成功事例を共有しながら、効果的な活用方法をご提案します。ダウンロードやアクティブユーザーをどうすれば増やせるか、KPI・KGIをどうすれば達成できるか。ゴールに向かって全面的にバックアップさせていただきます。
最後に、利用料です。「MGRe」ではダウンロードしても利用していないユーザーには課金しません。ダウンロード数ではなく、月間アクティブユーザーに対する課金システムを採用しています。私たちは企業とお客様のつながり・エンゲージメントこそが重要と考えているからです。

講演会場に足を運んだアパレル勤務の30代男性は、「新たに始めたインスタライブはそれなりに効果がありましたが、これからもしばらく続くコロナ禍の中で、次の一手を模索している」と、今後のヒントを得るために田代の講演を聞きにきてくれたそうです。アプリについては、「有効な選択肢として前向きに検討したいですね」と話していました。
田代の講演はオンラインでも同時配信され、多くのアパレル・ビューティ業界の方々に届いたようです。
顧客起点のデジタル戦略を、ぜひ一緒にアプリで実現させましょう。私たちが全面サポートをお約束します!


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