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2020/11/12開催 秋のファッションECサミット「アプリでつくる、顧客起点のデジタル戦略」|セミナーレポート

※こちらは2020年12月23日に執筆した記事です。

アパレル業界のデジタル戦略について最新事例を紹介するセミナー「秋のファッションECサミット」(主催・繊研新聞社)が2020年11月12日、オンライン形式で開かれ、ランチェスターの代表・田代が「アプリでつくる、顧客起点のデジタル戦略」をテーマに講演しました。

コロナ禍でアパレル各社はデジタルシフトに大きく舵を切っています。顧客との新しいコミュニケーション、より良い顧客体験を生み出すためにはどんな戦略が必要なのか。田代がアプリを使ったデジタル戦略の重要性を解説します。

はじめに

みなさんこんにちは、ランチェスターの田代です。本日は、「アプリでつくる、顧客起点のデジタル戦略」と題してお話しさせていただきます。

コロナ禍で顧客との接点が急速にデジタルへとシフトしてきている中、デジタルを活用した戦略がますます大事になってきています。

ただ、本当にうまくデジタルを活用して、事業の成長につなげている企業は限られているのではないでしょうか。そんな中、アプリを顧客接点の中心としてうまく活用しながら、デジタル戦略を進めている企業もあります。

本日は、なぜアプリがお客様を中心としたデジタル戦略を構築するうえで、重要なツールになるのか。アプリならではの特性と活用方法についてお話ししていきます。

その前に、まずはランチェスターについて簡単に紹介させてください。ランチェスターは2007年に創業し、2010年にANA(全日本空輸)のアプリ立ち上げのプロジェクトに参加します。 日本でちょうどiPhoneの3GSが登場したくらいのタイミングですね。

それから本格的にアプリの開発に携わるようになり、2013年にはオムニチャネルの成功事例としてよく取り上げられる「無印良品」のアプリ「MUJI passport」を開発。そして、2017年にアプリプラットフォーム「EAP」を立ち上げ、さらに2020年6月に名称を「MGRe(メグリ)」に変え、大幅なアップデートとリブランディングを行いました。

私のバックグラウンドはエンジニアです。エンジニアとしての知見を生かしながら、テクノロジーとマーケティングをつないでいくような仕事をずっと続けています。

会社は14期目、社員30人ほどで運営しています。ミッションは、「企業と顧客のより良い関係を支える」、英訳した「Make Good Relationship」の頭文字を取ったのが、今ご紹介した「MGRe」です。現在、アパレルや美容系を中心に多くのブランド、リテール企業さまにご利用いただいているサービスです。

コロナで生活者の行動はどう変わったか
の全世界ダウンロード数が25%増

それでは、ここから本題に入っていきましょう。

本日のアジェンダはこちらの4つです。

アプリが重要な理由、アプリが生み出す循環。それを簡潔にまとめたのがこちらです。

1、データで見るコロナ禍の生活者行動の変化
2、コロナ禍で進化した接客のデジタル化
3、アプリで作る、顧客起点のデジタル戦略
4、MGRe(メグリ)の紹介

はじめに、「データで見るコロナ禍の生活者行動の変化」です。

コロナ禍で生活者の行動は実際にどう変わったのか。データを見ながら分析していきます。

これは、アプリ市場データの分析に詳しいアメリカ企業APP Annieが、2020年上半期のモバイル市場における消費者行動の変化を調査したものです。

ご覧の通り、まずピーク月のアプリの全世界ダウンロード数が、2019年下半期に比べて25%増加したことがわかります。さらに、2020年4月の1日当たりの平均モバイル利用時間が4.3時間となり、コロナ前から17%増えました。モバイル広告も急激に増加しています。グローバルのデータですから、ASEANなどスマホの利用者が急増しているエリアだけでなく、欧米や日本などすでに普及している地域も含めて、コロナ禍で全世界的にスマホの利用率が高まっていることが明らかになっています。

次に見ていただきたいのが、私たちの「MGRe」を導入いただいている企業さまの2020年3月と4月を比較した顧客行動サマリーです。

緊急事態宣言が発令されたのが4月7日ですから、ステイホームの時間が急激に増える直前と直後を比較したデータになります。

私たちがご提供しているアプリケーションの中に、店舗でポイントカードとして使ったりできる会員証の機能があるのですが、ご覧のように会員証ページのアクセス数は最大54%減りました。店舗でアプリを使う機会が大きく減っていることがわかります。それと反比例するように、アプリからECへのアクセスは55%増加しました。

アプリ自体の月間利用者数は平均20%減少しています。ただ、5月以降は一転して増加し、6月は緊急事態宣言前の3月のアクセス数を超え、7月はそこからさらに増えました。徐々に店頭にお客様が戻ってきていることも影響していると思いますが、それ以上に店舗以外での利用シーンが増えてきているのでしょう。

このように、コロナ禍によって生活者の行動が変わってきており、同時にアプリの利用に関しても変化が生まれていることがわかってきました。

アパレル・リテールのデジタル接客最前線       
「購買」だけでなく「認知」「検討」もオンラインへ

さて、次に2つ目のアジェンダ、「コロナ禍で進化した接客のデジタル化」について説明していきます。

コロナ禍では生活者の変化だけでなく、企業も様々な取り組みにチャレンジしています。

ここでは具体例として、「ライブコマース・動画コマース」と「LINE接客・Zoom接客」のそれぞれで成果を上げているアパレルとリテール企業を紹介します。

まずは、ライブコマース・動画コマースです。アパレル業界では動画を使ったデジタル接客が非常に増えてますが、アパレル大手のビームスさんも初めてライブコマースを実施し、 1時間で6000人以上が視聴するなど話題を集めました。

「グローバルワーク」などを展開しているアダストリアさんのオンライン接客も好評で、ECの売り上げを大きく伸ばしています。印象的なのは、本部主導ではなく店舗やスタッフが自発的に取り組んでいる点です。各店舗やスタッフが、各自のInstagramのアカウントを使って接客しているのです。

続いて、「LINE接客・Zoom接客」です。単にLINEやZoomを使ったオンライン接客だけでなく、「Remo Order(リモオーダー)」というサービスを導入したのが阪急阪神百貨店さんです。これは店頭商品の在庫管理ができ、ほしい商品を来店しなくてもスマホで決済できるサービスです。これとオンライン接客を組み合わせた独自の販売方法を試しています。

ビックカメラは少し変わっていて、通常のオンライン接客とはお客様と販売員の状況が逆転します。店舗にいるお客様に対して、売場にはいない店員がモニター越しに接客するのです。「商品をどうしても手にとってみたい。でも、ダイレクトの接客には抵抗がある」といった場面で活用できる事例だと思います。

このように、コロナ禍で購買行動が店舗からECへ大きくシフトしただけでなく、お客様が商品を認知・検討する段階もオンラインに移ってきており、顧客接点が圧倒的にオンラインに偏るような状況が生まれています。

すでにあるサービス、コンテンツをアプリに集約
「再ログイン不要」など優れたUXを実現

次に、こうした変化の中でアプリを使ってどうやって顧客起点のデジタル戦略をつくっていけばいいのか。そして、そもそもなぜアプリが効果的なのか。この3番目のアジェンダについて解説させていただきます。

先ほどもお話ししたように、コロナ禍の中でお客様とつながる接点が大きくオンラインにシフトし、アプリのダウンロード数も増えています。そして、そうした急激な変化の中で、企業のみなさんは手探りでいろんな施策を打たれています。

ただ、お客様との接点が変わっても、やるべきことが大きく変わるわけではありません。

オンライン上で顧客とつながるための接点をつくる。顧客を認知し、継続してコミュニケーションをとる。そして、行動データから顧客理解を深める。このステップや仕組みをどこまで意識し、実践できるか。コロナ禍であろうとなかろうと、この重要性は変わらないのです。

むしろ、デジタル上の接点が増えている状況ですから、このことを今まで以上に徹底することで、お客様の行動をしっかり理解できるような状況になってきているのではないでしょうか。

では、そこでなぜアプリが有効なのでしょうか。

いざ自社でアプリを導入しようとしたときに、「なぜアプリなのか」「アプリだからこそできることは何なのか」と導入する理由やメリットを社内向けに説明するのが難しいと感じている方々もいらっしゃると思います。

アプリを導入する大きなメリットは、ECやポイントシステムなどのサービスや、YouTubeやInstagramなどのコンテンツを1つにまとめることができる点にあります。アプリだけでチャネルをまたがって顧客認知ができ、行動データを集めることができるのです。

例えば、こちらは私たちの「MGRe」を導入いただいているTHE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)の例です。

ザ・ノース・フェイスは、YouTubeやInstagramで配信しているコンテンツや、ECや会員証などそれぞれのチャネルの機能を1つのアプリ内に集約しています。こうしてアプリを顧客接点の中心に据えているのです。

アプリが優れているのは、それだけではありません。UX(ユーザーエクスペリエンス)が非常に優れていることも大きなポイントです。

例えば、アプリで一度ECにログインすると、2回目以降は自動でログインできるシングルサインオン(SSO)と呼ばれる機能を実装できます。

1つのアプリにサービスやコンテンツを集約するだけでなく、多くの企業さまはその先の「ECの売上を上げていく」「コンバージョンを上げていく」ことを求めていらっしゃいます。そう考えた場合、アプリ内で何度もログインを求められるのはUXとしては望ましくなく、当然コンバージョンが落ちてしまいます。

例えば、アプリ内でほしい商品を発見し、在庫があるのでカートに入れて決済する。この通常のフローの中で、途中で「ログインしてください」という表示が出るだけでコンバージョンは下がってしまいますよね。

ただ、アプリなら一度会員登録・ログインしていただければ、2回目以降はログインしなくても済むシングルサインオン機能をつくり込めるので、ECのコンバージョンに貢献できるのです。

一方、リアル店舗ではどうでしょうか。店舗では、デジタルの会員証・ポイントカードとして使われるケースが多いと思います。

ここで問題になるのは、その場でインストールし、会員登録する手間がかかってしまうこと。それによってレジ前に会計を待つ人の列が出てきてしまう可能性があります。また、久しぶりに立ち上げたときに、どこに会員証があるかのわからず時間がかかってしまう。そんなことも考えられます。残念ながら、こうしたネガティブな状況が生まれてしまうのです。

ただ、アプリはこういった問題やトラブルを解決できるような機能をつくり込むことができます。例えば、下記の4つの機能です。

アプリを店舗で活用いただくためには、このように店舗スタッフの方々に協力を得られるようなUXをつくっていくことも大事なポイントでしょう。

最後にもう1つ。それは、InstagramやYouTubeなどのコンテンツもアプリネイティブにして、アプリ内でスムーズに回遊できるようにすることも重要です。

せっかくその企業やブランドに興味を持ってアプリを見ていただいているのに、そこからInstagramなどの別のアプリに遷移してしまったり、YouTubeが開かれて関係のないコンテンツに流れてしまったりするケースも散見されます。それは大きな機会損失です。そうではなく、アプリ内でちゃんとInstagramなどのコンテンツを見られるようにつくり込む必要があります。

このように、1つのアプリにいろんなサービスやコンテンツを集約しながら、かつUXを高めていくための細かなつくり込みをしていくことで、アプリをブランドの世界への入口にすることができるのです。

最終的にはビジネス全体の成長へ
アプリはその可能性を秘めている

ECや店舗をはじめいろんなチャネルをつなぎながら顧客体験をつくり、そこで得られた行動データを可視化し、一人ひとりの顧客の特性に合わせてコミュニケーションを最適化していく。そうしてより良い顧客体験をつくっていくことで、継続的なコミュニケーションが生まれ、顧客理解を深めていく。こうした全体のデジタル戦略を進めていくうえで、アプリは非常に優れたツールなのです。

何より、最終的にはそれがしっかりビジネスとしての成長につながっていくことが重要です。

企業さまは今、いろんなチャネルで試行錯誤しながら新しいお客様との接点をつくろうとしてしています。新規のお客様がいらしたときに、どんなチャネルであれより良い顧客体験を提供し、何度もその商品やサービスを購買していただく。それによってライフタイムバリュー(LTV)が伸びていく。このステップがつくれてこそ、アプリがデジタル戦略の中心として意味を成すことになります。

さて、最後に簡単なまとめに入ります。それがこちらです。

まず、アプリにサービスやコンテンツを統合するのが最初のステップ。次に、単に統合するだけではあまり意味がないので、アプリ内で顧客体験をより良くしていくことでお客様との継続的なコミュニケーションを促すと同時に、集めた行動データをもとにお客様の理解を深めていくことが重要です。

これによりリピーター化が進み、購買単価が増え、事業の成長につながっていく。そういう理想的な流れをつくっていくことができます。

開発だけでなく、専門チームが運用・分析も支援
OSのアップデートも自動対応

さて、最後に私たちのアプリプラットフォーム「MGRe」について紹介させてください。

「MGRe」は一言で言うと、アプリマーケティングをワンストップで提供可能なサービスです。アプリの開発から運用、さらには顧客の行動データを分析してより良い施策を実行していくところまでをワンストップでご提供しています。

非常に柔軟なデザインとUI(ユーザーインターフェース)を持ち合わせており、アパレルや美容系のお客様にも数多くご利用いただいています。お客様からは日々細かいUXのご要望をいただいてますので、現場からのそうしたフィードバックをもとにさらにUXを高めていく、そんな利便性の高い機能を揃えています。

企業さまにとってアプリを導入する際にどうしてもネガティブになってくるのが、毎年iPhoneもAndroidもOSのアップデートがあり、いろんなトレンドが新しく出てくることでしょう。ただ、「MGRe」はそうしたプラットフォームやトレンドへの追従に関してもサポートさせていただいているので、ご契約いただくだけで自動的にアップデートされるようになっています。

また、アプリ専任の担当者がいらっしゃらなくても心配ありません。実際、「MGRe」を活用いただいている私たちのクライアントの中にも、専任者がいる企業さまはほとんどありません。

私たちにはカスタマーサクセスの専門チームがありますので、成功事例を紹介したりしながら、一緒にKPI・KGIをどう達成していくかをサポートさせていただきます。ゴールに向かって、一緒に伴奏させていただいているのです。

そして最後に、「MGRe」の利用料について。一般的にアプリはダウンロードで課金されているケースが多いと思いますが、私たちは実際に利用されて初めてアプリの価値が発揮されると考えています。ですから、「MGRe」は毎月ご利用いただいた人数、いわゆる月間アクティブユーザー数に応じた課金方式をとらせてもらっています。

また、その際も先ほどご紹介したカスタマーサクセスのチームが、ダウンロードやアクティブユーザーを増やすためのバックアップをさせていただきます。

コロナ禍でお客様との接点がますますデジタル化している中、アプリの利用価値はさらに高まっていくはずです。お客様とつながり、長く付き合っていく。そのブランドの世界の入口として、ぜひ「MGRe」を試してみませんか?興味のある方は、ぜひお気軽にご連絡ください。ご静聴ありがとうございました。

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