【イベントレポート】若い世代ほどスーパーに行くのは楽しい!アンケートで見えてきた消費者のスーパー使い分け事情

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スーパーマーケットを始め、ホームセンター・ドラッグストアなどのチェーンストアでは各社がデジタル施策に積極的に取り組み、アプリの提供やポイントカード制度の拡充が進んでいます。しかし、顧客層によって利用状況や求めるものが異なる中、特に若年ファミリー層の取り込みは多くの企業にとって重要な課題となっています。
メグリは今回、競争の激しい都市部において複数のスーパーを利用している消費者を対象に、世代別の利用状況や意識の違いに関する独自調査を実施しました。このセミナーでは世代ごとの分析から見えてきた消費者のスーパー使い分け事情についてレポートします。

小売り市場の現状

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まずは、スーパー、ホームセンター、ドラッグストアの市場状況について共有していきたいと思います。
チェーンストアの大手各社様は、ホームページで毎月の既存店売上、客数、客単価の前年同月比を公表されています。これらの公表数値を約30社分収集し、スーパー、ホームセンター、ドラッグストアの3業界に分け、それぞれの業界平均値を算出しました。
その上で2019年度(2019年3月~2020年2月)を100として、経年的な推移を観察した結果がこちらです。
3業界とも100%を超え、右肩上がりの傾向が見られます。ただし、これは買上げ点数が特別増えたり高額商品にシフトしているというよりも、物価上昇が背景にあると考えられます。

また、売上はスーパーとドラッグストアは特に2023年以降、右肩上がりと言えますが、ホームセンターは2019年水準に留まっています。売上は客単価と客数の掛け算と考えられるため、スーパーとドラッグストアは客単価が伸びて客数が横ばいで売上が右肩上がり、ホームセンターは客単価と客数がともに相殺され売上が横ばいという状況と読み取れます。
このような状況の中で、ポイントとなるのは客数であり、特に若年ファミリー層(将来の主要顧客となる層)を取り込みながら客数を増やしていくことが、多くの企業で課題となっています。そこで、リテールアプリで顧客エンゲージメントを高める支援をしている当社として、顧客体験向上につながるヒントを探るために今回の調査を行いました。

調査概要

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このセミナーで紹介するアンケートは弊社のホームページからダウンロードしていただくことができますので、興味をお持ちいただけましたら是非ご覧ください。また、昨年行ったポイントカードに関する調査も同様にダウンロード可能です。
都市部のスーパー愛好家440名にスーパーの ” 使い分けポイント ” を調査 – MGRe(メグリ)

アンケート結果

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質問「あなたが複数のスーパー(実店舗)を利用する理由を教えてください」

最初にご紹介するのは「あなたが複数のスーパーを利用する理由を教えてください」という質問です。特に都市部の消費者がそれぞれのスーパーに何を求めているのかを知りたくて聞いた質問です。
結果は、「欲しいものを一番安く買えるお店で買いたい」が最も多く、次いで「特定の魅力的な商品が異なるため」(例:お肉ならここが良い、など)となりました。
これを世代別に見ると、上位2位の回答にはあまり世代間の差が見られませんでした。つまり、商品の安さや店舗の特徴・強みとなる商品は世代を問わず求められているということです。
ただし、「店舗が発行するポイントやクーポンを使いたい」という回答は、40代以上と比較して20~30代ではやや低く出ている点が注目されます。その分、「一番安く買いたい」という回答が20~30代で最も多くなっています。これは、先週実施したホームセンター利用者に対する調査でも、20~30代はポイントやクーポンへの関心がやや低く、直接的な安さを求める傾向が見られたことと共通しています。

質問「あなたが複数のスーパーを利用する頻度を教えてください」

この質問では、「いくつかの店舗をメインにして他は時々利用する」と「1店舗をメインにして他は時々利用する」がほぼ同数の回答を得ました。(1店舗のみという回答については、そもそもこの集計から除外しています)
世代別に見ると、40代以上では「複数店舗をメインにして」という回答が最も多かったのに対し、20~30代では「1店舗をメインにして」という回答が多く見られました。これも他の調査と通じる傾向があり、来週実施予定のドラッグストア利用者向け調査でも、若い世代ほど特定のチェーンを好んで利用する傾向が見られています。
また、「利用パターンはその時々で変化」という回答も、40代以上と比べて20~30代では低く出ています。このことから、高齢層の方が利用する店舗を柔軟に変える傾向があると読み取れます。
単純にまとめると、20~30代は特定の店舗を利用する傾向があるけれどもポイントやクーポンへの関心が比較的低く、高齢層はその逆と言えます。ポイントやクーポン施策によって店舗を柔軟に使い分ける傾向は、比較的年齢層の高い層の方が受け入れられやすいという仮説が見えてきます。

質問「あなたの実店舗とネットスーパーの利用頻度の割合について、最も近いものを選んでください」

この質問では、半数以上の人が「ネットスーパーを使わない」と回答しました。「時々使う」まで含めても8割を超えるため、少なくとも都市部においては、まだネットスーパーが定着しているとは言い難い状況です。ただし、移動スーパーのような成功モデルもあるため、店舗が身近にたくさんある都市部の調査だということは考慮に入れる必要があります。
世代別に見ると、顕著な特徴が現れました。「ネットスーパーを使わない」という回答は40代以上では7割近くあったのに対し、20~30代では3割に届かない結果となりました。つまり、ネットスーパーを「使う」か「使わない」かで分けると、40代を境に7対3という比率で逆転しているのです。全体傾向として若い世代ほどネットスーパーを利用する傾向があるのは想像に難くないですが、これほど明確に出るのは驚きでした。

質問「あなたはスーパーのアプリをスマートフォンに入れていますか」

この質問で最も多かった回答は「利用するスーパーのアプリは全部入れてよく使っている」で、次いで「いくつかのスーパーのアプリを入れてよく使っている」となりました。一方で「一切使っていない」という回答も3番目に多く見られました。
世代別に見ると、20~30代、40~50代では「全てのアプリを入れてよく使っている」という回答が最も多かったのに対し、60代以上では「一切入れていない」が最も多くなっています。
また、「全てのスーパーのアプリを入れている」と回答した人の割合は、20~30代で約半数、40~50代で約1/3、60代以上で約1/4となっています。アプリを含めたデジタルツールに対する抵抗のなさは、若い世代ほど高い傾向がはっきりと表れています。

質問「あなたはスーパーのチラシを見ていますか」

チラシの閲覧方法についても質問しました。最も多かった回答は「アプリでよく見ている」で、次いで「アプリで時々見ている」という結果になりました。3番目に多かったのは「チラシは見ない」という回答でした。
ドラッグストア利用者に対して行った別の調査(質問項目は同じで対象が異なる)では、「チラシは見ない」が最も多く、次いで「アプリで時々見る」、「アプリでよく見る」という順でした。単純に比較すると、ドラッグストアよりもスーパーの方が来店頻度が高く、天候などによって値動きが変わる生鮮情報も多いため、スーパーマーケットのチラシへの関心が高いのではないかと思われます。
世代別に見ると、20代から50代までは「チラシは見ない」という回答が上位を占めていますが、60代以上では「紙とアプリ、半々くらい」が最も多くなっています。ただし、60代でも2番目に多い回答は「アプリで見る」で、「紙で見る」を上回っていることから、チラシを見る方法は世代を問わずアプリに移行していると言えそうです。
また、「チラシは見ない」とした回答が20~30代の方が40代以上の世代より低く出ている点も注目すべきポイントです。これはチラシをアプリで見るという方法によって、若い世代がチラシに目を通す機会が増えている可能性を示唆しています。

デジタルサービスの利用状況

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続いて、スーパー各社がサイトやアプリを通じて提供しているデジタル系サービスについて4つの調査を行いました。

質問「あなたの最も良く行くスーパーは、アプリやプリペイドカードで使える独自ペイがありますか」

この質問に対して、約6割が「ある」、約3割が「ない」と回答しました。「分からない」と答えた人は約1割でした。
世代別に見ると、「分からない」と答えた層に顕著な差が生じています。現金やクレジットカードのような従来の決済方法以外の施策に対する認知や関心の度合いを表していると感じます。

質問「あなたは、独自ペイをどの程度利用していますか」

独自Payがあると答えた人に「どの程度利用していますか」と質問したところ、「ほとんどの支払いで利用した」という人が約35%で最も多くなりました。
世代別では、20~30代では「ほとんどの支払いで使っている」と「メインで使っている(クレジットカードなども併用)」を合わせると8割を超え、かなり高い利用率となっています。一方、45~50代では「手続きや使い方は分かるが利用したことがない」という回答が多く見られました。

質問「あなたの最も良く行くスーパーで独自ペイが導入された場合、あなたは独自ペイを利用したいですか」

また、独自Payが「ない」と答えた人に「あったら使いたいですか」と質問したところ、全体では「利用したくない」が多い結果となりました。
一方、世代別では20~30代は「利用したい」が約5割と最も多く、40代以上は「利用したくない」が多数を占めました

調理レシピの利用状況

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質問「あなたの最も良く行くスーパーはアプリやホームページ等で『調理レシピ』を提供していますか」

アプリやサイトで提供されている調理レシピについて質問したところ、「分からない」と答えた人が約1/3と、独自Payよりも認知度が低い結果となりました。
世代別に見てみると、調理レシピの提供があると回答しているのは20~30代が焼く7割ほど。20代以降は「調理レシピを提供しているのかわからない」と回答していて、そもそも調理レシピの提供に関する興味関心の度合いが世代によって異なっていることわかります。

質問「あなたは、調理レシピをどの程度利用していますか。調理レシピが提供された場合、利用したいですか」

利用頻度については、すでに調理レシピがある場合は利用している人が約7割で、現在はなくても「あったら利用したい」という人も約半数という結果でした。
世代別では、20~30代では利用している人が9割近くに上り、「あったら利用したい」という人も約7割となっています。一方、40代以上では半数以上が利用しないという結果でした。

ゲーム機能の利用状況

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質問「あなたの最も良く行くスーパーのアプリにポイントやクーポンがもらえるゲーム機能はありますか」

ガチャガチャやスクラッチなど、クーポンやポイントがもらえるゲーム機能について質問したところ、認知度は8割を超え、利用率も非常に高い結果となりました。
「ゲーム機能がある」という回答は20~30代が最も多く、それ以降の世代については「ゲーム機能の回答があるかわからない」という回答が、20~30代を大きく超えているという結果になりました。

質問「あなたは、アプリのゲーム機能をどの程度利用していますか。ゲーム機能があれば、利用したいですか」

ゲーム機能がすでにある場合、利用するという解答はほぼ100%近くに上っています。また、現在はゲーム機能がなくても、あれば利用したいという解答も5割近くと高く、ゲーム機能に関する関心の高さがうかがえる結果となりました。
世代別に見ると、すえにゲーム機能がある場合、20~30代と40~50代ではほぼ100%に近い利用率で、60代でもかなり高い割合で利用されています。
「あれば使いたい」という回答も20~30代が特に高くなっています。

お買い物メモ機能の利用状況

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質問「あなたの最も良く行くスーパーのアプリに『お買い物メモ』機能はありますか」

お買い物メモ機能(買うべきものをリスト化し、買い物時にチェックするリスト機能)についても、他のデジタルサービスと同様の傾向が見られました。「分からない」と答えた人が約1/4です。
お買い物メモ機能がある場合、利用している人は9割以上と高く、現在はなくても、「あれば使いたい」という回答も半数近くありました。
この機能についても20~30代が圧倒的にポジティブな結果となっています。
これらの調査から、20~30代の若い世代はデジタルサービスへの感度が高く、ポジティブにスマートに使いこなしている傾向が明らかになりました。一方で、高齢世代はポイントがもらえるガチャや決済にかかわるPay機能には一定の認知と利用があるものの、レシピやお買い物メモのような付加的なサービスへの関心はそれほど高くないことが読み取れます。

質問「あなたにとって『スーパーで買い物をすること』と聞いて感じる、一番近いものを選んでください

最後に、「あなたにとってスーパーで買い物をすることと聞いて感じる一番近いものを選んでください」という質問を行いました。選択肢は、「楽しい」「ワクワクする」「気分転換になる」といったポジティブなものから、「日常生活の一部」といった中立的なもの、「家族のためにやらなければいけない」「面倒」「ストレス」といったネガティブなものまで設定しました。
結果は、約4割が「日常生活の一部」という中立的な回答を選び、次いで「楽しい」「ワクワクする」「気分転換になる」というポジティブな回答が続きました。「面倒」や「ストレス」というネガティブな回答は3%にとどまりました。
世代別に見ると、「楽しい」「気分転換になる」といったポジティブな回答は若い世代ほど多く、特に「楽しい」という回答は20~30代では最も多い回答となっています。
この「楽しさ」の内容をさらに探るため、スーパーの使い分け理由やアプリの利用状況をこの感情軸で分析してみました。「楽しい」と回答した人の約3/4が「一番安く購入できるお店で買いたいから」と回答しており、お得に買い物をすること自体に楽しさを見出している可能性があります。
また、「楽しい」と回答した人はアプリをよく使っている割合も高い結果となりました。「楽しい・ワクワク」と回答した人の半数近くが、アプリを導入しているという結果になっています。
さらに、表は用意していないのですが、チラシの閲覧頻度についても同様の軸で分析したところ、「楽しい」と回答した層がチラシをよく見ている傾向が顕著に表れていました。お得な情報をしっかりと見極めてスーパーを選ぶことに喜びを見出している姿が浮かび上がってきます。

まとめ

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今回の調査から、特に20~30代の若い世代の特徴として以下の点が見えてきました。
お気に入りのスーパーを1つ中心に利用する傾向がある。都市部で2つ以上のスーパーを利用する人を対象とした調査ではありますが、1つのスーパーをメインに他のスーパーを利用するという傾向は若い世代の方が高いことが分かりました。
様々なデジタル施策について、しっかりと認知し、便利なものは積極的に利用している。特にデジタル施策については、見て、分かって、知っているし、便利なものは使っているという姿が見て取れました。
スーパーでの買い物は「楽しいもの」と捉えている。ただし、この「楽しさ」はエンターテイメント的な面白さとは異なり、しっかり商品を見極めてお得に買い物をするという体験に喜びを見出している可能性が高いです。
競争の激しい都市部においては、こうした特徴を踏まえ、賢く楽しんでスーパーを使い分けている若年ファミリー層に選ばれる店づくりが必要ではないでしょうか。そのためのツールとしてのアプリに対する期待値の高さも見えてきましたので、見やすく分かりやすい情報提供を行い、ますますスーパーでのお買い物が楽しくなるようなアプリ作りに、これからも貢献していきたいと思います。
今回はスーパーマーケット業界にスポットを当て、競争の激しい都市部で複数のスーパーを利用している消費者、特に20~30代の若い世代に焦点を当てた調査結果から得られる知見や業界の傾向について解説しました。若い世代はデジタル施策に対して積極的で、スーパーでの買い物自体を「楽しい」と感じている一方、特定の店舗を中心に利用する傾向があることが分かりました。こうした消費者の特性を理解し、適切な顧客体験を提供することが今後の課題となるでしょう。アプリやデジタルマーケティングの導入や運用についてお悩みでしたら、ぜひ当社にお問い合わせください!

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