【イベントレポート】20代から70代女性に大調査!ドラッグストアの利用傾向とアプリのあり方とは?

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ドラッグストア業界では、幅広い世代の顧客に対応したサービス展開が求められています。今回のウェビナーでは、メグリが独自に実施した20代から70代の女性431人を対象としたアンケート調査を元に、世代別の意識の違いを中心に分析した結果をご報告し、顧客体験向上のヒントを探ります。

ドラッグストア業界の市場状況

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本日の内容に入る前に、ドラッグストア、ホームセンター、スーパーの市場状況を共有させていただきます。
チェーンストア大手各社様は、ホームページで毎月店舗の状況(売上、客数、客単価などの昨年同月比)を公表されており、これを参考にした調査データをご覧いただきます。
大手各社約30社の公表数値を収集し、スーパー業界、ホームセンター、ドラッグストアの3つの業界に分けて各社の数値の平均を算出。2019年3月から2024年2月を100として経年的な推移を観察しました。
真ん中の赤い線が100%を示すラインです。このグラフから分かるように、3業界とも100%を超え、右肩上がりの傾向にあります。ただし、これは1人当たりの買い上げ数が増えているというより、物価上昇が背景にあると考えられます。
この状況の中で、特に重要となってくるのは客数と言えます。実際、セールス現場で各社様から伺う課題も、業界を問わずこの認識は一致しています。特に将来の主要顧客である若年のファミリー層を取り込みながら客数を上げていきたいという課題をお持ちの企業様が多くいらっしゃいます。

今回のアンケート調査について

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今回のセミナーでは、主に競争の激しい大都市圏・首都圏都市部で2つ以上のスーパーを駆け持ちで利用している人431人に対して行ったアンケート調査を、年代別に分けて分析した世代間ギャップを中心にお話しします。
年代別に均等割り付けをして行った調査で、実は今回がドラッグストア編で、これまでホームセンター編、スーパー編とウェビナーを連続で行ってきました。

調査結果の詳細分析

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ドラッグストアの利用目的

意外な結果として、医薬品購入やかかりつけ薬局としての利用は20-30代が最も高く出ました。60代以上の方がかかりつけ薬局を持つ傾向があると仮説を持っていましたが、異なる結果となりました。

ドラッグストアの利用の仕方

この傾向は以前に行ったスーパーマーケットの調査でも同様の結果が出ており、若い世代の方が特定チェーンを好んで利用する傾向が見て取れました。

キャンペーン施策の利用状況

キャンペーンに対する意識が高く応募に積極的な順に並べると、若い世代ほどキャンペーンをチェックして積極的に参加している傾向が明確に現れました。特に20-30代と40代以上の開きが大きく出ています。
一歩上、「関心の有無によらずキャンペーンに応募することはしない」という回答が低いのも若い世代に集中しています。
・この点から、背景として以下の要因が考えられます。
・アニメやアイドルとのコラボなど、若い世代を主要対象としたキャンペーンが多い
・SNSを通じて友人や公式フォロワーから情報が拡散しやすい環境がある

ネットショップに関する認知

重要なポイントは、約4割の人がドラッグストアのECを認知していないという事実です。「運営していない」と答えている人の中にも、それを知らないだけという人が含まれている可能性があります。
世代が高くなればなるほど「知らない」と答えている人の割合が高くなります。これはホームセンターやスーパーの調査でも同様の傾向が見られ、ネットショッピングに対する認知や期待は年齢に比例することが明白に出ています。

ネットショップの利用状況

運営していると答えた人には利用頻度を、運営していない・分からないと答えた人には利用意向を質問しました。
・運営していると答えた人でも「あまり利用しない」「全く利用しない」が過半数
・運営していない・分からないとした人も「あっても利用しない」という人が多数

チラシに関する意識

チラシを見ている人の中では、アプリで見る人が多いという結果になりました。
同じ質問をスーパー利用者にも行ったところ、チラシは紙ではなくアプリでも見るという傾向は同じですが、スーパーの方がチラシをよく見ている人がわずかに上回りました。
ドラッグストアのチラシに関しては、他の調査ほど顕著な世代間の差は見られませんでした。
考えられる理由としては以下の通りです。
・ドラッグストアはクーポンが多数発行されており、これが単品チラシ代わりになっている
・スーパーは生鮮の値動きが激しく、生鮮情報中心で見られる傾向がある

会員スマホアプリの利用状況

20-30代が最も低いという意外な結果が出ました。また、「利用をやめた」「アプリを提供しているか知らない」という回答も20-30代で他の世代より高く出ています。
全国のドラッグストアは約19,000店舗強あり、大手企業ほどアプリ導入率が高いため、アプリを導入している企業の店舗を合計すると9割近くになります。その状況下で「アプリが提供されているかどうかを知らない」という回答が20-30代で7.4%あったのは驚きの結果でした。
参考程度になりますが、スーパーの調査では、年齢に比例してアプリを入れている人が多く、20-30代で利用しているスーパーのアプリをすべて入れているという回答50%という結果になりました。「以前は使っていたがやめてしまった」という回答も、20-30ダイアは多世代と比べても引く傾向があります。

アプリの機能別活用度分析

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デジタルクーポンの活用

全世代で85%以上の人が使うとしていますが、「できるだけ使う」とした人は世代の若さに比例して高く出ました。若い世代ほどより積極的にクーポンを使う傾向があります。

処方箋送信機能

事前に処方箋をカメラで撮って送っておくと待ち時間が減らせる機能についての質問です。機能があるかどうかを理解していない人が42.6%という結果で、ネットショップと同様に認知の確認が重要な質問となりました。
機能があるかどうか理解している人は20-30代がはっきりと高く出ています。ただし、この機能だけは40-50代の方が「分からない」とした人が最も高くなっており、病院で処方箋を受け取る頻度と関連している可能性があります。

健康促進機能(歩数計連動)

ドラッグストアアプリの中には歩数計機能と連動させて、歩いた歩数に応じてポイントが付与されるゲーミフィケーション的な健康促進支援機能があるアプリもあります。それを踏まえての調査です。
若い世代の方が機能の有無をしっかり理解している傾向があります。
興味深いのは、実装した企業としては高齢世代に使って欲しい機能かもしれませんが、「歩くだけでポイントが貯まるなら美味しい」と思うのは若い世代の方が多いという結果です。

調査を通じて感じた20-30代の特徴

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お気に入りチェーンにこだわりがありそう

単純に捉えると、うまくファン化をしていくことができれば、若い世代の方がブランドに対して固定客化を進めやすい傾向として捉えられます。

キャンペーンやクーポンを積極的に活用

日頃からキャンペーンやクーポンをチェックしてお得な買い物に活用しています。ただし、クーポンの数が非常に増えているため、クーポンを探しやすくしたり、利用の仕方をスマートにするような工夫が今後求められていくと考えられます。
なお、ホームセンターの調査では、クーポンやポイントに対してあまりこだわりがないというのが若年世代の結論でした。ただし、過去の調査結果から見てもクーポンがあればしっかり使うという傾向は強いようです。

ポイントカード以外のアプリ機能にも関心が高い

処方箋送信や健康促進機能といったものにも興味があることが分かりました。特に若年層の顧客体験につながる機能は、満足度や活用度の向上につながりやすいと考えられます。ECサイトとの連携なども有効だと思われます。
一方で、高齢層の方にもちゃんと使ってもらう必要があるため、機能だらけになって「これどう使えばいいのか分からない」とならないよう、ポイントカードやクーポンの提示はスムーズにしてあげる工夫も必要です。

今後の課題と展望

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そもそものタッチポイントであるアプリの活用という点で、今回の調査では20-30代の活用度が他よりも若干ネガティブという気になる結果が出ていました。この点についてはさらに調査や考察を深めていきたいと考えています。
定期的にドラッグストアを利用しているにも関わらず会員登録していない人に対するアンケート調査も新たに実施しており、昨日最新の調査結果が上がってきました。こちらもざっと見たところ、結構興味深い結果が出ているため、近いうちにウェビナーの形でご紹介していきたいと思います。

まとめ

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今回の調査結果から、ドラッグストア業界における世代別の利用傾向やアプリに対する意識の違いが明確になりました。特に20-30代の特徴的な行動パターンを理解することで、より効果的な顧客エンゲージメント戦略を構築できる可能性があります。

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