顧客との架け橋になることに期待し
困難な状況だからこそアプリを導入

―― アプリを導入しようと思われたきっかけを教えてください。

安井さん 自社アプリについては、2018年くらいから興味を持っていました。顧客満足度を上げるために必要性を感じていたのと、地方企業が自社アプリを持つこと自体がひとつのステータスになると考えていたからです。

アプリ導入を検討し始めたところでコロナ禍に。来店者数が減る厳しい状況の中で、どのようにお客様とつながっていけるかということが、大きな課題になりました。

そこで、「アプリがお客様とのコミュニケーションツールになるのでは、もっとびんごやを身近な存在として感じていただけるのでは」と考え、導入を決めました。アプリを通して伝えられることがもっと増え、顧客満足度が上がることを期待したのです。

売上が落ちている中での導入なので不安はありましたが、お客様あっての商売なので、ここで立ち止まっていられません。辛い時だからこそ、動くことがチャンスになると考えました。

購入額に応じた会員ランク分けで
リピート客の購買意欲がアップ

―― アプリ導入前には、どのような課題がありましたか。

安井さん 当時は顧客情報をプラスチックカードのバーコードで管理していたのですが、頻繁に購入してくださるお客様も、年に数回のお客様も還元率は一緒で、リピーターのお客様への手厚いサービスができていませんでした。

アプリ導入後は、購入額に応じた会員のランク分けが可能となったため、コア層のお客様への還元ができるようになりました。すると、上位ランクのお客様を中心にさらに買ってくださるようになり、年間を通してそれが数字としても見えてきたのです。

赤松さん プラスチックカードは、持参し忘れた場合にポイント加算ができません。アプリならスマホに入っているので、MGReを導入してからはカードをお持ちいただく必要がなくなりました。

今買った商品のポイントがすぐに確認できる、「ポイントの見える化」も好評です。会員ランク制度を導入したことで、ゲーム感覚でランクを上げることを楽しんでいるお客様もいらっしゃいます。

強みの「スタッフの個性」を発信
コラムのアクセス数は20倍に

―― アプリの内容で力を入れているポイントを教えてください。

安井さん びんごやの魅力のひとつであるスタッフの個性を、もっと表に出していきたいと考えました。以前は実店舗とECサイトの情報が分かれていて、ECサイトではスタッフ情報を発信していたのですが、実店舗ではそれができていない状態でした。

そこで、アプリの導入にあたっては、「こんなスタッフがいるんだ」と身近に感じてもらうことを意識しコンテンツ内容を決めていきました。例えば、「スタッフが自分でオススメを見つけて自分の言葉で綴るコラム」など、その店舗やスタッフの個性が光るコンテンツを配信しています。

以前はなかなか見に来てもらえていなかったECサイトのスタッフブログも、アプリでコラムを配信するようになってからは、アクセス数が20倍に増えました!

割引キャンペーンからポイント付与へ
利益を上げ、次の購買につなげる

―― アプリ導入によって、販売戦略に変化はありましたか。

安井さん 自社ポイントを活用した施策することが増え、利益アップに繋がっています。プラスチックカードが主だったころは、お客様は獲得したポイントをレシートで確認ができるのみで、ポイントキャンペーンを実施しても、どのくらいかお得になったのかが見えにくい状況でした。

(写真)アプリ導入前はメインの会員証だった、プラスチックカード

そのため、販促は値引きによるものがメインとなり、通常よりも2~3割多く購入していただく目的で「10%オフキャンペーン」を年に3回ほど打ち出していました。アプリを導入してからは、ポイントが見える化され、ポイントを活用した施策も実施しやすくなりました。

会社としても、割引で販売して利益が下がるより、ポイントを付与して次のお買物につながったほうがいい。利益は上がり、売上もキープし、次の来客につながるというのは、企業としてはこの上なく嬉しい状況です。1年間くらいこのよいサイクルが続いています。

赤松さん 実際、アプリをご覧になって来店されるお客様もいらっしゃいます。「アプリで紹介されていたこの商品はありますか?」と声をかけていただくことが増えて、実売にもつながってきている。こういう新しいコミュニケーションによって、スタッフとお客様との距離が近くなったと感じています。

スタッフ間では、アプリに対してわからないことがあれば、みんなで話し合って理解を深めるようにしています。

配慮された管理画面とサポートで
アプリの運営がしやすい

―― 管理画面の使いやすさや、サポート体制はいかがですか。

安井さん MGReの管理画面は本当にわかりやすく、これまで様々なサービスの管理画面を見てきたという担当者も太鼓判を押しています!

シンプルで見やすいため、あまりWebに慣れていないスタッフでも更新ができ、店舗が自分たちでコンテンツを運用できています。

また、アプリ導入前は、実店舗とECサイトそれぞれに対して配信が必要で、SNSとメルマガを各2回ずつ更新するなど、必要以上に工数がかかっていました。ですが、近ごろはアプリ内に情報が集約されてきたこともあり、スタッフの運用負担も軽減されてきています。

サポートについては、ご担当の方が、こちらの要望や「何か足りないところはないですか?」と常に聞いて、対応してくださる体制がありがたいですね。

夢は、びんごやを鳥取の観光拠点に。
地域に貢献できる企業を目指す

―― 企業としてのこれからの展望や夢を教えてください。

安井さん まずは地に足をつけて、倒れない会社、スタッフが安心して働ける会社にすることを考え、今は、夢の準備をしているところです。全国から来てもらえるお店を目指しています。アプリ導入をはじめとした、デジタル活用の基盤づくりは、その第一歩ですね。

将来的な夢としては、びんごやを鳥取の観光の拠点にしたいです。観光案内所は、観光地に行かないとありませんが、BINGOYA SUPERSHOP 鳥取店は、鳥取駅から車で10分〜15分、空港からも車で10分かからない、好立地です。

BINGOYA SUPERSHOP鳥取店外観

BINGOYA SUPERSHOP鳥取店内観(写真上・下)空港、鳥取駅からも好アクセスなBINGOYA SUPERSHOP 鳥取店は、アメリカンビンテージ調の空間と、開放感のある高い天井が特徴。さまざまなメーカーから選りすぐられた商品たちとBINGOYAの世界観が溶け合う、ブランドの象徴的な旗艦店。

安井さん 服屋はお客様とお話ししながら行う商売なので、お客様も「どこかおいしいお店ない?」と気軽に聞きやすい。スタッフが、おすすめの観光コースを組むこともできるかもしれません。行政とも組んで、すべての店舗が観光案内所になれたらいいですね。そうやって、地域での役割を果たせる活動をしていきたいです。

これまで50年にわたり商売ができたのは、地元のお客様に愛していただいているから。裏切らず、嘘をつかず、地元に恩返ししていけたらと思っています。

【取材場所】BINGOYA SUPERSHOP(ビンゴヤ スーパーショップ) 鳥取店