アプリのリニューアルで課題だった課金システムを解決

―― アプリ導入前には、どのような課題がありましたか。

猪原さん MGReを導入する前は、他社のアプリを利用していました。旧アプリは累計ダウンロード数に応じて、毎月の支払額が加算されていくシステムが採用されていたため、例えば初期にアプリをインストールされて何年か経っているような休眠ユーザーについても課金対象に入ってしまっていたのです。

SPINNSは、メインの客層が10代〜20代前半と若く、ティーンだったお客さまが年齢を重ねることで離れていくというのは自然の流れ。今現在ご利用されていないお客さまの分も蓄積され加算されるというのは、実態と合っていませんでした。

そのため以前は、積極的にアプリでお客さまを獲得しようという働きかけができていなかったというのが、正直なところです。この課題を解決してくれたのが、MGReでした。課金体系がアクティブユーザー数(※)に基づいているため、ダウンロード数による課金を気にすることなく、アプリユーザー獲得に向けたアクションを起こせるようになりました。

※アクティブユーザー数:MGReにおいては、直近1ヶ月のうちに1回以上アプリを起動したユーザーの数「MAU(読み方:エムエーユー/Monthly Active Users)」を示す。

バラバラだった実店舗とECサイト
顧客情報、ポイントを一元化

―― アプリを導入して一番よかったことを教えてください。

猪原さん 実店舗とECサイトの一元化です。弊社は、創業当時から店舗中心型の運営で、EC稼働率が低い点が課題でした。そのことが顕著に浮き彫りになったのが、コロナ禍で店舗を休業した時期です。

当然、販路をECサイトに頼らざるを得なくなったのですが、実店舗とECサイトの情報が連携されていなかったため、これまでお店での買い物でポイントを貯めてくださっていたお客さまがそのポイントを通販で使えない、またはECサイトで貯めたポイントがお店を再開した時に使えない、という問題が出てきてしまったのです。

この時、店舗とECサイトを一体化させたサービスの必要性を実感しました。そのためアプリの導入により、実店舗とECサイトの顧客情報やポイントシステムを一元化できたことは、弊社にとって大きな変化です。

スピンズ京都本店の内観(写真)京都随一の繁華街・四条河原町に位置するスピンズ京都本店。2018年に全面リニューアルした店内にはポップで遊び心のある装飾が施され、ステージエリアでは人気バンドがライブを行うことも。若者のカルチャー醸成を支える、トレンド・エンタメ発信地となっている。

ブランドの世界観がダイレクトに伝わる情報発信ツールとして活用

―― どんなアプリを作りたいとお考えになったのでしょうか。

猪原さん アプリ上で、SPINNSというブランドのエッセンスを表現したい、身近に感じていただくためのツールとして活用したい、という思いがありました。

お店に買い物に行く時やクーポンを使う時にアプリを起動させることが多いと思いますが、移動中や帰宅後などにも、SPINNSのことを思い出していただきたい。いつでも知りたい情報があるアプリを目指したい、と考えたのです。

そこで、新アプリでは商品やイベント情報、ニュース機能に加え、アプリ上でお気に入りのスタッフをフォローし、フォローしたスタッフのコーディネートが見られる機能を導入しています。

ブランドの世界観はスタッフの雰囲気に左右されるところがあるので、このようにSPINNSの空気感を発信しやすい環境ができたことは、これから強みになっていくことでしょう。

スピンズアプリ内コーデ機能を活用する様子(写真)SPINNSアプリのコーディネート閲覧機能は、オンライン接客ツール「スタッフスタート」を活用したもの。MGReアプリにおいては、「お気に入りコーデ登録」、「スタッフフォロー」がオリジナル機能として搭載され、スタッフスタートを通じた顧客体験を高められる。

→スタッフスタート連携の詳細はこちら

一歩踏み出せる社風で
ダウンロード目標値の100%超

―― スピード感のある取り組みに挑戦できる秘訣を教えてください。

猪原さん 弊社の理念として、「チャレンジできる文化と失敗できる風土」というものがあります。挑戦すると失敗することもありますが、それを許容できる会社でありたい。店舗中心型の運営でしたが、そんな社風だからこそ、新しいアプリやサービスの導入に踏み出すことができたのだと感じます。

(取材時は)アプリを導入してから約10ヵ月で、累計12万ダウンロード。目標値の100%を超え、着実にダウンロード数を増やしています。最初は慣れないことに苦戦しましたが、店舗スタッフに新しいアプリの有益性が浸透することで、自信を持ってお客さまにご案内できるようになり、飛躍的に数字を伸ばすことができました。

管理画面の操作性のよさと サポートの充実で安心して運営できる

―― アプリを運営するうえで、使い勝手やサポート体制はいかがですか。

猪原さん 管理画面がわかりやすく、担当者でなくても操作できるのがいいですね。ブランドサイトにイベントレポートやニュースをアップしているのですが、以前はサイトとアプリをそれぞれ更新しなくてはいけませんでした。今は、クローラー機能(※)で、サイトを更新すれば、アプリとSNSが自動的に更新されるようになりました。一回の更新で済むので、時間も手間も省けます。

アプリの導入を決めてから、リリースするまでのスピード感には驚きました。わからないことがあれば、担当者の方に気軽に質問できるのもうれしいところです。リリースまでのサポートだけでなく、リリース後の定例会などサポート体制が充実していたのもありがたかった。アプリの運用に関してアドバイスいただき、一緒に走っていただけているという安心感があります。皆さん明るくて、親切な方ばかりです(笑)!

※クローラー(コンテンツ自動収集)機能:ブログやSNS(Instagram、YouTube、Twitterなど)、お知らせなど、点在しているコンテンツをアプリに集約。アップデートしたコンテンツは自動収集され、二重管理の手間をかけずに運用できる。

継続的に使いたくなる仕掛け
ワクワクできるアプリを目標に

―― これからアプリで力を入れていきたいこと、展望を教えてください。

猪原さん アプリ導入初期は、新規ダウンロードされた方にのみクーポンを付けていたのですが、MGReのセミナーに参加した際に、他社さんの事例を知って、ウィークリークーポンを取り入れたいと思いました

アプリを継続的に利用していただくために、アプリユーザーとそうではない一般のお客さまとで、明らかにアプリユーザーでいることの方が有益だということを定着させたいですね。

SPINNSは「主張が明日を創るきっかけに」というミッションと、「変われるってムテキ」というスローガンを掲げています。

「変われるってムテキ」と書かれたポスターの画像

ファッションやユースカルチャーを通して、自分に自信を持てたり、未来に希望を感じられたり、楽しい1日を過ごせたり。若者の心が少しでも昨日よりポジティブに向くきっかけを作れる、そんなブランドでありたいと思っています。

だからこそアプリも、単にお得に買い物ができるだけでなく、ユーザーがびっくりワクワクできるものを提供できるよう、メグリの皆さんと一緒に作り上げていきたいです。

 

【取材場所】SPINNS(スピンズ) 京都本店