アプリに「会員証」以上の価値を。
バラバラのコンテンツを1つにまとめて体験向上につなげたい

―― 導入前には、どのような課題がありましたか。

大澤さん MGReを導入する前は、CRMのオプションとして付いているアプリを利用していました。ただ、実際にはアプリを会員証としてしか活用できておらず、それ以外のコンテンツやサービスを提供していなかったため、アプリでの体験価値や利便性という観点で限界を感じていたんです。そこで、会員証以外のコンテンツを盛り込めるアプリにしたいと思い、アプリの乗り換えを検討しはじめました。

また、アプリからECサイトにスムーズに遷移できたり、オウンドメディアの読み物が見られたりと、点在するコンテンツ同士をシームレスにつなげられるものにしたいという思いもありました。

 

―― どのようなコンテンツをアプリに入れたいと思われたのですか。

大澤さん まず、ECサイトへの導線です。以前のアプリでもECサイトへのリンクは貼っていたのですが、私たちが理想とする使用感ではありませんでした。もう少し、お客様にとって使いやすい形にしたかったですね。

次に、アミナコレクションのブランドは一つひとつ世界観が異なるので、それぞれの良さを消すことなく表現したい思いもありました。私たちのブランドは、どれも思いが本当に強いんです。そのため、混ぜこぜにするのではなく、ブランド別の入口を設けたかった。

3つ目に、オウンドメディアの読み物です。アミナコレクションが発信する各ブランドには、沢山の商品やレーベルがあります。それらをECサイトだけで表現するのは難しいので、「アミナフライヤーズ(※)」というオウンドメディアを立ち上げたのですが、お客様に見ていただくきっかけづくりに頭を抱えていました。アプリを通して、このアミナフライヤーズを見ていただきたいと考えました。

アミナフライヤーズのWebページスクリーンショット

(画像)アミナコレクションが運営するオウンドメディア「アミナフライヤーズ」では、企業としての発信や、展開ブランドの情報をまとめて見られる

顧客に寄り添うコミュニケーションツールとして
自社の課題を解決できると確信し、MGReを選択

―― MGRe(メグリ)を選ばれた理由を教えてください。

大澤さん 「ブランド別での表現」と「アプリ内でのオウンドメディア発信」という弊社の課題を解決できたことと、運用時のサポート体制に安心感があったことが決め手でした。

一般的に、アプリプラットフォームやパッケージの場合、機能はある程度似通ったものになると思います。そのため、ベンダー選定時にはそれぞれどのような違いがあるのかを徹底的に比較しました。

MGReにはオフラインバーコード表示(※)や仮会員(※2)、マルチブランド(※3)といった機能があるため、複数あるブランドのイメージを崩すことなくお客様に快適な体験を提供できるのではないかと考えました。

進藤さん 実は、選択肢はあまり多くはありませんでした。オウンドメディアとブランド別の表示をシンプルに実装できる開発会社さんは限られていたのです。

MGReは、それらを叶えられることに加えて、現場に配慮された「仮会員」機能など、弊社が抱える細かなストレスを取り払ってくれそうだと感じました。

大澤さん あとは、代表の田代さんが仰っていた「必ずしも、アプリである必要はない」という考え方にとても共感ができて。

私たちも、「アプリをすごくやりたい」わけではなかったんです。ただ、お客様が使いやすいコミュニケーションツールを提供したくて、その選択肢としてアプリがありました。その根本的な考え方に共鳴したことも、MGReを選んだ理由の一つです。

その他にも、アパレル企業の導入実績が豊富だったり、他社ベンダーアプリからの乗り換えでの導入が多いことも、安心できるポイントでしたね。

※オフラインバーコード表示:通信障害時でも会員証のバーコード表示ができる機能
※2 仮会員機能:アプリインストール後、会員情報の登録をすることなく会員証表示でき、ポイントを貯められる機能
※3 マルチブランド:1つのアプリの中に複数ブランドのタブを作成でき、ブランドをセグメントとして施策に活かせる機能

導入後は現場にすぐ馴染み、アプリ運用のストレスを軽減。
マルチブランドとメディアの掛け合わせが、新たな購買機会も創出

―― アプリリニューアル後の反響はいかがでしたか。

進藤さん 導入後に現場での混乱が起きなかったことには、驚きました!普通は変化があると、それがどのような良いことだとしても、反発ってあるものだと思うんです。それなのに、MGReの導入時はクレームが上がってこなくて。

気になったので、現場のスタッフに「悩みや不満があれば、遠慮せずに教えて」と聞いてみたのですが、「何か辛いことはあったっけ?」という感じで、けろっとしていました(笑)。

アルバイトも含めると何百人というスタッフがいる中で、いきなりシステムが変わって、アプリの機能自体も一新されていたのに、ほとんど波もなくスムーズにリニューアルできたことは、本当に良かったです。

大澤さん オウンドメディアへの送客も伸びました。コラムサイトの読み物にはアミナコレクションの思いが詰め込まれているので、弊社の魅力の訴求につながっていると思います。

進藤さん マルチブランド機能があるおかげで、各ブランドの顧客に、別のブランドを紹介するきっかけにもなっていますよね。

アミナコレクションアプリのブランド別表示画面

(画像)アミナコレクションのアプリの下タブ(メニュー)には「ブランド」アイコンがあり、5つのブランドの公式サイトにアプリ内からアクセスできる

 

進藤さん 弊社のお客様は、各ブランドごとに年齢層やファッションなどが様々です。共通するお客様はおそらく2~3割ほどで、あとの7割程度の方は、ブランド単体のファンなのです。

ECサイトだとブランドごとに区分されてしまいますが、アミナフライヤーズではすべてのブランド情報を発信しているため、各ブランドのお客様がメディアに合流していきます。読み物を通して、ブランド間を回遊する機会が生まれたんですよね。その意味でも、1つのアプリの中に複数のブランドをまとめられたのは大きかったです。

リニューアル後、ECサイトのPV数と売上は飛躍的に伸長。
MAUは3倍、アプリ経由のEC送客数は100万%超え

―― 導入後に、どのような成果が上がりましたか?

大澤さん あまりに数字が大きすぎてリアリティがないかもしれませんが、以前のアプリと比べて、ECサイトへの送客が106万パーセントに伸びています。MGRe導入前は、月に数人~十数人ほどだったアプリからのEC送客が、今では何十万人にも増えました。

ECへの流入経路の中でも、アプリから入ってきてECサイトで購入されるお客様が最も多いんですよ。コンバージョンも上がりました。

進藤さん ECの売上は伸び続けていて、そのうちの何割かはアプリが貢献していますよね。

大澤さん そうですね。アプリのリニューアル後、ECサイトへのアクセスは1.5倍ほど伸びています。おかげさまで、売上も順調に上がっています。インストール数もどんどん伸びていて、MAU(※)は旧アプリに比べて3倍になりました。

※MAU:「Monthly Active Users」の略で、月あたりのアクティブユーザー数を示す

導入前から運用時の丁寧なサポートが自走を支えた。
メディア育成の土壌づくりに、アプリが貢献。

―― MGReを導入して良かった点を教えてください。

進藤さん 現場での混乱がなくスムーズにアプリを導入できたことは、メグリさんと組んで一番良かったと思ったことです。

大澤さん そうですね。アプリリリース時に新しくアプリを入れ替えるのではなく、「既存アプリのアップデート」という形でリニューアルできたので、お客様や現場への負担なく移行できた気がします。

導入後のオンボーディングもとても丁寧でした。私たちはいろいろなシステムを導入しているのですが、中には乗せてもらえない感じというか、置いて行かれてしまうようなこともあって。

進藤さん オフボーディングってこと?(笑)

大澤さん そうです、そうです!そのまま出航されてしまうという。(笑)

私たちは素人なので、横文字だらけの説明をされても理解するのは難しいんです。それでもメグリさんは営業提案から開発時に至るまで、皆さんわかりやすく丁寧に説明してくれました。

そのおかげで、私たちにも知識がついていって、社内へ共有する際もしっかりと伝えられました。これも、混乱が少なかった要因かもしれませんね。

進藤さん あとは、アミナフライヤーズの位置づけが社内で上がった気がします。オウンドメディアがアプリに一体化されたので、お客様との距離が近いものになりましたし、今後プラスになっていくイメージが湧いています。メディアをこれから充実させていきたいと思っているので。

アプリ内でのアミナフライヤーズの表示画面
(画像)アミナコレクションが運営するコラムサイト「アミナフライヤーズ」はアプリメニューからすぐにアクセスできるようになっている

どこを切り取っても「思い」が届く発信を。
ブランドらしさを伝え続け、顧客の活力を引き出したい

―― これからアプリで力を入れていきたいこと、今後の展望をお聞かせください。

大澤さん 施策面で言うと、お客様に提供できる体験をさらに増やしていきたいです。元々実施していた抽選会やキャンペーンなどを、アプリ上でできるとよいなと。

MGReのアプリを導入して、ECや店舗への流入拡大という目的も達成できたので、今後はさらにお客様の満足度を上げられるようなアプリにしていきたいですね。最近はQRクーポンという機能が出たそうなので、それを使ってみるなど、新たな取り組みもしていきたいです。

進藤さん 企業としては、バックグラウンドにある思いや、お客様に共感していただきたい部分を、何が表示されても背景に感じられるようにしたいです。

弊社は、もともと私の父が民俗学を学んでいたところから、民芸品の売り買いを通して、「民族の方との熱いやり取りを行いたい」という思いで作られました。

「モノはいらない」時代になりつつある今、数多くの量販店がある中で、なぜ私たちが生き残っているのか。そのことを考えてみたときに、文化を通して心が満たされたり、刺激されたりするといった価値を提供することで、量販店とは違った立ち位置を確立できているのだと思います。

チャイハネ本店の外観写真

チャイハネ本店の内観
(写真上・下)アミナコレクションのブランドの中で最も歴史のある「チャイハネ」。トルコの寄り合い茶屋という意味で、その本店であるチャイハネ Part 1は横浜中華街に位置する(※)


進藤さん 我々のミッションは、近代化前のその地に根付いた文化がもたらす、活力や癒しの力を伝えていくことだと考えています。ですが、うまく伝えなければ、独りよがりのマニアックな世界になってしまう。

さまざまな民俗文化の背景を、物を通してだけではなく、今は巨大な伝達手段であるネット上で発信し「共感の輪」を広げていきたい。オウンドメディアの運営もその一環です。その輪を広げていくためにも、アプリやSNS、店舗といった表現の場で、筋の通った統一的なブランドメッセージを届けていく必要があります。

1,000人近い仲間が、熱く「アミナコレクションらしさ」を維持できるような環境づくりをして、いかにデジタルの領域で伝えられるか。そして、それをどれほど面白くできるかに挑戦していきたいですね。


※参考:「チャイハネ45周年を振り返って」

【取材店舗】チャイハネ Part 1 【本店】