左から、東急ハンズの城野佐和子さんランチェスターの高田克巳、佐藤伸彦

 

お客様のことを考えた機能が、パッケージ化されていた

佐藤 「ハンズクラブアプリ」は2014年にローンチされていましたが、今回のリニューアルで、さらにパワーアップしました。

城野さん 以前のアプリでも会員証機能などはあったのですが、もっと情報発信やコミュニケーションの部分を強化したアプリにしたいと考えていました。

高田 それで今回、アプリを開くとすぐにニュース画面が表示されるようになっているんですよね。

城野さん はい、そのニュース画面で、東急ハンズ全店で行っているキャンペーンに加えて、お客様がそれぞれ登録している「お気に入り店舗」情報に応じて、各店の独自イベントやキャンペーンの情報も発信しています。

お客様がよく行く店舗で実施するイベントをタイムリーにお知らせすることで、来店するきっかけになればと思います。

また、各店の在庫状況を調べたりEC注文できる商品検索や、店舗情報画面・クーポンなどもデザインをリニューアルしています。

子どもの頃から東急ハンズに足を運んでいたので、大人になって入社した今、弊社の魅力をもっといろんな人に知って欲しい――。(城野さん)

 

高田 今回、東急ハンズさんが導入してくださった、モバイルアプリプラットフォームは小売店のアプリに必要な機能がパッケージで揃えられるんです。

いま城野さんが話したようなニュースやクーポン、店舗情報なども標準でご用意しています。

城野さん ランチェスターさんは、パタゴニアやオンワードなどのアプリも手がけられているんですよね。今回のアプリで私がいいなと思っているのは、アプリを開いたら初めに表示される画面が、位置情報を元に切り替わること。

ご自宅や外出中には自分の会員番号よりニュースを見たいし、レジ前ではスムーズに会員証画面を出せたら便利、と、使うシーンに合わせた設計になっているのが嬉しいポイントです。

佐藤 弊社のこれまでの経験や知見がUI/UXにも反映されているんです。

城野さん 会員証ページや店舗情報など、必ず入れたい基本の機能も、きちんと作ろうとすると結構なお金と時間がかかりますよね。だからこそ、必要な機能がパッケージで提供してもらえるのはありがたかったです。

サービスをパッケージで提供することで、開発のコストや期間を抑えることができましたね。(佐藤)

 

クライアントに負担のかからないプロジェクトマネージメントを

城野さん 弊社とランチェスターさんでコンタクトが始まったのが、2018年10月。キックオフしたのが2019年3月でした。

佐藤 プロジェクトの進め方としては、まずは城野さんにアプリの標準機能について説明させていただきました。

その上で、リニューアルの方向性や、既にあるアプリをお使いのお客様がそのままスムーズに新アプリを使えるよう、じっくりとすり合わせをしました。

城野さん 期間にすると、2カ月ぐらいでしたね。

佐藤 今回は既にアプリがあってのリニューアルだったので、会員データなどは連携して取得する必要があったんです。
そのインターフェースや、お客様のログインの方法なども、綿密に検討を重ねていきました。

高田 様々なシステムとの連携の部分は、アプリの機能を拡張してユーザー体験を作っていきます。
標準機能をベースにご要望をうかがいながら進めます。

佐藤 今回のアプリで言うと、連携のためのインターフェースのほか、お店のチェックイン機能をアップデートしました。
あと、様々な年代の方が使いやすいよう、一部のフォントサイズを大きくしました。
必要な機能のすり合わせのあと、開発には3カ月ほどかかりました。

城野さん 私としてはあまり手間がかからなくて、打ち合わせのほかは時々質問をいただいて回答したり、要望を伝えたりするぐらいでした。
例えば、「リニューアルの段階で全員がログアウトしたりせず、ログインしたままアップデートできるようにしたい」とか。
あれこれ聞かれて、全部お伝えする、という感じではなかったです。だから、「できました」と連絡が来たときは、マジで?と思いました(笑)。いつの間に、みたいな。

佐藤 ありがとうございます(笑)。それで、開発の後は、テストして、ローンチに対応する、という流れです。

高田 やっぱりテストをしてみるといろんなケースがあって、最後まで根気強く修正していきました。

少ないやり取りでニーズを読み取り、安定したアプリを完成させてくれた(城野さん)

 

アプリ運用の手間が減れば、担当者はコンテンツ作りに注力できる

佐藤 アプリの運用の部分も変わりましたよね。

城野さん 今までは、情報発信しようとすると大変だったんです。まず、各店舗が原稿と画像を用意して、私たちがいる本社に提出します。その原稿を我々の部署がコピペして管理画面に入れる、という作業を40店舗分やっていたんですよ。

佐藤 それは大変でしたね……。

城野さん だから、もっと簡素化できないか、というのも課題でした。
今回のリニューアルで、各店舗が原稿を本社に送る必要がなくなり、Webにアップするだけでアプリと自動連係されるようになりました。

高田 実際の管理画面を使いながら、城野さんに色々覚えていただきました。

城野さん 運用が改善されたことで、出せるニュースの数が増えました。いろんな情報をお店からお客様にお届けできるようになったのは、嬉しいですね。

高田 発注を頂く前に何度か提案を出していたんですけど、担当の方にもっと手間をかけずにアプリの運用をして欲しいと考えていました。

城野さん 私たちにとっては、お客様に来店していただくのが一番目指したいゴールなんです。
原稿を一つひとつ作成・提出・設定、と手動で対応していたときは、各店が行っているイベントやキャンペーンなどの企画は、アプリには一部しか掲載できず、東急ハンズのサイトでしか告知できていないものも多くありました。
でも今回のアプリなら、よく行くお店をお気に入り登録していれば欲しい情報だけが手軽に見られる。

高田 作業の手間が少なくなった分、コンテンツ作りなどの情報発信に注力ができて、東急ハンズさんの良さを出していけますよね。そこは僕らが注力した部分でもあります。

城野さん ただ買い物をするだけの場所ではなく、手作りワークショップやサンプリング、有名ブランドのパウチのサンプル配布など、いろんなイベントも含めて楽しんでもらいたい。
そこをもっと押し出して行きたいですね。

運用面にも配慮し手間を減らすことで東急ハンズの魅力を伝えることに繋げた。(高田)

 

「買い物をする場所」だけではない、東急ハンズの面白さを伝えたい

高田 初めて城野さんとお会いしたとき、城野さんのハンズ愛に魅了されて、ぜひ今回のプロジェクトに関わりたいと思ったんですよ。

城野さん そうだったんですか!(笑) 
弊社は元々お客さんだったスタッフが多いんですよ。私も子どもの頃から東急ハンズの手作りワークショップに足を運んだり、材料を買って帰ったりしていました。
だから、商品を買うためのお店というよりも、「日替わり、週替わりで楽しいことをやっているお店」というイメージがあったんです。

佐藤 そういったプライベートでの経験が、お客様に対する情熱になっているんですね。

城野さん そうかもしれません。
例えば、ボールペンを買いに来たお客様が、イベントに気付かず帰ってしまわれると、東急ハンズのことをもっと知って欲しいと思います。
大人になって入社した今、「買い物だけではない東急ハンズ」を伝えていきたいという思いが根底にあります。

佐藤 城野さんのように情熱の持った方とご縁が持てたからには、我々も目的を達成するために全力を尽くしたいと思いますね。
これはどの企業さんと仕事をする時もそうです。

高田 僕も、お仕事でご一緒する企業さんを、多面的に好きになりたいといつも思っています。
その会社のことが好きになれば、運営するブランドや扱う商品、購入するお客様まで、色々なところを好きになり、思い入れを持って仕事ができます。

佐藤 あと、僕が仕事をする上で大事にしているのは、レスポンスを早くすることと、状況を共有すること。
担当の方はアプリの開発やシステムに詳しいわけではないので、不安になることってたくさんあると思うんです。
だから、メールやチャットでも、連絡は素早く密に取るようにしていますね。

城野さん アプリもより便利で楽しいものにバージョンアップしていきたいですね。改善したりチャレンジしたり、常に新しいことをしていきたい。
少しでもより良くなるようにと、いつも考えています。

本日は、インタビューにご協力いただきどうもありがとうございました。