株式会社ゴールドウイン様

ゴールドウインがアプリをリニューアル、 DL数・MAUがアップした理由とは

株式会社ゴールドウイン 販売本部 EC販売部 デジタル推進グループ リーダー 冨田良介さん(写真左)

株式会社ランチェスター カスタマーサクセス部 下谷奈桜子(写真中央)

株式会社ランチェスター カスタマーサクセス部 佐藤匡圭(写真右)

スポーツアパレルメーカー・ゴールドウインが手がける4ブランドのアプリが、2020年8月に全てリニューアルしました。

アプリリニューアル後は、売上、MAU(Monthly Active Users)、ダウンロード数がアップしたといいます。

リニューアルの狙いや施策について、ゴールドウインのアプリ開発担当者と、ランチェスターのカスタマーサクセスのメンバーが語ります。


アプリとECサイトのシームレスな連携とすぐ出せる会員バーコードで、ユーザビリティを向上

冨田さん(以下、冨田) 今回のリニューアルで最も力を入れたのは、ユーザビリティの向上です。そのためにまず、SSO(シングルサインオン)*を導入しました。

*SSO(シングルサインオン):IDとパスワードの認証を一度行うだけで、アプリやWEBサイトなどの複数のサービスにログインできる仕組み。

佐藤 ゴールドウインさんのブランドはコンテンツとECが密接に関係しているので、SSOができるといいですよね。

冨田 そうですね。例えば、ブランドのサイトで紹介されている商品を見て、興味を持っていただいてECサイトに行くことがあります。また、ECサイトで「この商品いいな」「話題になっているな」と気になった後に、コンテンツを見て商品の理解を深めていただくこともあります。

このように、当社のコンテンツとECはとてもインタラクティブな関係にあります。SSOによってシームレスに連携できれば、アプリからECサイトに飛んだ時にログインし直さなくて済みます。まずはそういった居心地のよい環境づくりを目指しました。

interview-01

下谷 リニューアル前のアプリでは、ログインでエラーになってしまうこともあったと聞いています。そうした場合、ユーザーにとっては「今ってログインできてる状態なのかな?」と心配になっていたと思います。今回のリニューアルによって、コンテンツとECを行き来する時に、つまずくポイントがなくなったのではないでしょうか。

冨田 そうですね。もう一つ、ユーザビリティの向上を目指して、会員バーコードを瞬時に出せるようにしました。リニューアル前のアプリだと、ログインして、さらに会員バーコードを出すためのメニューを辿っていかなければならなかったんです。

下谷 確かに、以前のアプリではサイドメニューから探して会員バーコードを出すまでに5,6タップほど必要な設計になっていましたね。

冨田 当社では直営店をご利用されるお客様がとても多いこともあり、会員バーコードをすぐに出せる環境というのは急務でした。リニューアル前のアプリと比べると、バーコードの出しやすさは歴然です。
そもそも当社としては、店舗で配布する物理カードをお持ちのお客様には、徐々に、アプリに移行していただきたいと考えていました。そうすることで会員管理が一元化でき、より合理的な情報のお届けが可能になるからです。会員バーコードを出しやすくしたことで、数値的にみてもアプリへの移行は少しずつ前進していると感じます。店舗スタッフからも「アプリで会員バーコードを出す人が増えた」という声が寄せられています。

佐藤 それは嬉しいです。MGReはアプリをその場でダウンロードして、ログインしなくても会員バーコードが出せて、すぐにポイントが貯められるという点が特徴ですから。

interview-02ダウンロードしてすぐに会員バーコードが出せる。個人情報の記入は買い物が終わってからでOK。

下谷 お客様にアプリを使っていただくには、店舗スタッフの協力は欠かせません。ゴールドウインさんでは、アプリのリニューアル前に、全国の店舗スタッフの方を対象に説明会を開いたと聞きました。

冨田 その時には、アプリの重要性を強く訴えました。ダウンロードをすればすぐにポイントを貯められて、会員登録は後から行ってもいいことも伝えたところ、店舗スタッフにも利便性が伝わり、現場で活用してくれているのだと思います。

佐藤 だからこそ、店舗でのオペレーションがうまくいき、ダウンロードの促進に繋がっているんですね。

下谷 アプリの細かいところの操作まで、スタッフ一人ひとりにしっかり伝えるには時間がかかることが多いです。例えば、今よりも分かりやすいマニュアルを各店舗に配布して、新人の方に見ていただくなどして、伝えていけるといいですね。

リニューアル後は、アプリ経由の売り上げもアップ

佐藤 リニューアルしてから、売上やダウンロード数などはいかがですか?

冨田 おかげさまでMAU・ダウンロード数・売上比率はどれも伸びています。アプリ経由の売上比率が伸びたのは、SSOでログイン情報が保持されるようになったことが理由のひとつでしょう。アプリからECサイトに移行したとき、既にログイン状態になっているので、買い物のしやすさが結果に表れているのだと思います。

下谷 MAUはリリースしてから2ヶ月はそこまで動きがありませんでしたが、その後急激に増加しています。

interview-03

冨田 先ほどお話しした、店頭でのアプリのダウンロード施策を実施したことで、非常に多くの方にダウンロードしていただき、MAUの増加に繋がったのだと思います。

下谷 それから、アプリ担当者をはじめとしたゴールドウインの皆さんが、アプリの運用の体制を整えたことも、MAUの増加に繋がっているのではないでしょうか。

冨田 そうですね、昨年は体制作りにも力を入れました。リニューアルしたからには、さらにご利用いただくために工夫が必要だと思っています。

下谷 我々としても、ゴールドウインさんのアプリを成功させるために、最初は細かい部分もサポートできればと思い、気付いたことは全部お伝えしていました。プッシュ配信をした時の遷移先をどこにするかという話や、画面に出てくるバナーとニュース記事の内容が被らないようにするとか。おせっかいなんですが……実際に私がアプリから購入してみて、気付いたことをお知らせしてサポートさせていただきました。

佐藤 我々のノウハウを活かすというよりは、自分がいちユーザーとして使った時の「がっかり体験」を無くすように整理して、その上でご相談させていただいたという感じですね。

冨田 私たちも、お客様にとってストレスなく、心地よくアプリを使ってほしいと考えていました。

下谷 クレームと一緒で、誰かが「これ使いにくいな」と感じたということは、同じことを思う人が30人ぐらいはいると私は考えています。ですから、「がっかり体験」を地道に潰して、よりユーザビリティの高いアプリになってほしいと思い、サポートしていました。

佐藤 そうですね。ランチェスターで開発に関わった人だけでなく、社長や役員までゴールドウインさんのアプリのユーザーになり、社員みんなで気づきを共有していました。

下谷 ただ、私たちがしたのは、あくまでもサポートです。MAU数が伸びたのは、ゴールドウインさんが社内でアプリの運用体制を組んで、プッシュ配信を定期的に行うなどの施策を打ったからです。

冨田 ただ、良い評価をいただいている一方で、改善の余地がある部分もまだまだ散見されます。当社の商品に対しては機能的な価値をすでに感じていただいていますが、私の立場としては当社のデジタル環境における機能的な価値も感じていただきたいです。その為の細かい工夫や改善は今後も精力的に行っていきたいですね。

interview-04

ブランドの世界観を伝えるために、アプリの運用はすべて社内で

佐藤 ゴールドウインさんが扱う4ブランドそれぞれにアプリがありますが、運用はどのように行なっているのですか?

冨田 運用は全て社内で行なっていて、4ブランドにアプリ担当者がついています。ただしアプリの選任担当者ではなく、みんな他の業務と兼任です。

下谷 企業がアプリ運用を外注せずに、社内で行うメリットは大きいと思います。ブランドの世界観をよく理解している人が運用するので、細かい言い回しや、しない方がいいことなど、判断がつきやすいですよね。

佐藤 僕も、リソースが割けるのなら絶対に社内で運用するほうがいいという考えです。

冨田 アプリはお客様と密接に繋がるツールであり、ブランドの世界観がそのまま表現される場でもあります。お客様に正しい情報や世界観をお伝えして、質の高いコミュニケーションを目指すなら、社内で運用するのがベストだと判断しました。

佐藤 仮にレギュレーションやトンマナがあったとしても、それに沿ってできるのは作業レベルのことなんですよね。世界観を伝えるのは、内部の人でないとなかなか難しい。

interview-05

冨田 その通りだと思います。アプリを開いてパッと見た時に、お客様がどう感じるかは非常に大事です。社内の人間はブランドに対する理解が深いので、写真やテキスト、細部の言い回しなど、それぞれのブランドとしてどう表現すべきかを分かっています。
もし外部に委託をした場合、「プッシュ配信で開封率が高い言い回しはこれ」という判断で運用されることが多いだろうと思います。これはこれで正しい考え方です。ただ、当社は世界観を大切にしている以上、それはマッチしないやり方なんです。

下谷 ザ・ノース・フェイスのアプリは毎月十数回ほどプッシュ配信を行なっていますが、毎回よく考えられていますよね。見て欲しいとか、売りたい気持ちが勝ると、つい「!」をたくさん付けがちなのですが、ブランドの世界観を優先しているので、ほとんど使われていませんよね。
世界観を守るというのが前提にあり、その上で伝わる表現を熟考されていると感じます。

佐藤 社内で運用すると、スピード感が上がるというメリットもありますよね。外部に委託した場合、世界観を共有するためのやり取りが発生してしまい、ゴールドウインさんが納得する品質になるまでに時間がかかってしまいます。社内の人はそもそも最初に持っているインプットの量も違いますから、世界観のある品質のものをアウトプットするなら、社内運用の方が早いです。

分析も社内で行う方が、長期的に見て有益だと判断

下谷 ゴールドウインさんは、運用だけでなく分析も社内で行おうとしていますね。

冨田 はい、そのために新たに分析チームを設立しました。

佐藤 アプリ運用だけでなく、分析も外部に委託しない理由は何ですか?

冨田 外部の方に分析のレポートを上げていただくことももちろんできます。でも、私が以前にCRMの分析をしていた経験を通して感じるのは、レポートは自分で作ってみて初めて、必要な項目やデータの精度、ユーザー心理などの発見があるということです。ユーザーインサイトに近づくことができる、とも言えます。外部の方に上げていただいたレポートの場合、読んで「わかりました、数字が上がってよかったです」というだけで終わってしまいがち。それだと、発展的ではありませんよね。

interview-06

佐藤 アプリだけでなくレポートも発展的であるべきで、分析の精度を高めていくべきだと。

冨田 そうです。やはり、取れる数値も、お客様の行動や望んでいることも、社内的なニーズも、日々変わっていきます。そうなると、レポートの精度は常に上げていく必要がある。それなら、社内でノウハウを蓄積していった方が、長期的に見たら有益だと考えています。

佐藤 上がってきたレポートの表面的な数字を見るのではなく、社内で分析を行うことで、数字の裏側や、数字を見る力をつけていくということですね。

冨田 そういうことです。ユーザーインサイトを見つけるのは本当に難しいです。ただ、簡単にはできないからこそ、チャレンジしなければいけないことなのだと思います。

下谷 自社で分析までできると、PDCAサイクルが圧倒的に早いというメリットもあります。外部に委託すると、レポートが出てくるまで2週間かかり、施策を打つのが1ヶ月後になる、といったことがざらにあります。本来、1週間単位でPDCAを回すのが理想なのですが……。PDCAが遅いというだけで、新しい施策を打つときの足かせにもなり得ます。だから自社で分析までできた方がもちろんいいのですが、ただ、ハードルは結構高いですよね。今はどういった段階なのでしょうか?

冨田 今は、分析の体制を作る初期段階です。どのぐらいの時期に次のステップに移行できるかはまだ明確に決めていませんが、とりあえず必死にやっています。
ただ、個人的には、既に分析チームを作ったメリットはあると感じています。レポートを上げたり発表したりする機会があるので、それに向けて数字の裏側を読み解こうとしますし、情報の精査をするようになります。分析して発表するという反復運動をすることで、チームのリテラシー向上に繋がっていると思います。

佐藤 ちなみに、アプリの担当者と分析チームを分けたのはなぜですか?

冨田 我々はアプリの存在意義や立ち位置を非常に重要視しています。今後はアプリをさらに強化していきたいので、分析はアプリの担当者と切り離し、中立の立場で客観的にアプリを分析できたほうがいいと考えました。

下谷 なるほど。分析チームは4ブランドを横断して見ているんですか?

冨田 はい、横断的に見ています。ちなみに、開発に関しては私の所属グループが4ブランドを横断して見ていて、EC販売部はEC全体を見ている、といった感じです。

下谷 社内からのリクエストは、どのチームが対応されているんでしょうか。改修の要望や、「こういう情報を見られるようにしてほしい」とか、いっぱいあると思うのですが……。

冨田 分析に関わるものであれば分析チームが、改修については開発を担当する部署が対応します。ただ、一人が全てを取りまとめて各適正部署に振るというのは、まだ十分にできていません。今後はそういったところも体制を整えていきたいと思っています。
同時に、アプリを使ってどんな数字が取れるのか知ったり、分析チームが作ったレポートを読んだりして、社内みんながアプリと向き合う時間ができて、社内全体のリテラシーも高めていければと考えています。

アプリを強化していくために、さらなる施策と改善を

下谷 冨田さんは、今後アプリではどんな展開を考えていますか?

冨田 お客様の利便性向上に繋がる取り組みは積極的に行なっていきたいです。まずは明らかに不便な部分の改修など、地道な工夫が必要です。あとは、まだ詳細が詰まっていないのではっきり申し上げられませんが、店頭を軸にしたエンターテイメント性のある取り組みなども構想にあります。とにかく改善や新しい試みを繰り返しながら、それぞれのアプリの強みを最大化できる動きは続けていきたいですね。

下谷 なるほど、いいですね。加えて、現在のプッシュ通知の開封率をもっと上げるご支援もできたらと考えています。今はセグメントせずに全配信されていますので、今後、顧客データを元にユーザーの嗜好に合わせてセグメント別のプッシュ配信をしていけば、開封率はさらに上がると思います。

interview-07

冨田 それはやりたいですね。それぞれのお客様に最適化された情報の発信は、意識して行なっていきたいところです。あとは、人気商品の抽選や商品予約、イベント申し込みなどの導線設計も工夫していきたいです。

下谷 イベントや抽選をいつも行なっている企業だと、「イベント」や「抽選」といったメニューをサイドメニューではなくボトムタブの1つにしている企業もあります。ユーザーに「何かイベントやってるな」「ここで抽選ができるんだ」というのがすぐ伝わりますから。

佐藤 それと、期間限定でニュースのタブを増やすのもありだと考えています。これまでのニュースの閲覧数を振り返ると、限定販売や先行発売のニュースは、他と比べて断トツに読まれています。よく読まれる記事を分かりやすく配置してあげると、より閲覧数が上がると思います。
それから、今は動画バナーをご活用いただいていますが、将来的にはニュースにも動画をアップできるよう開発を進めていますので、そちらもご活用いただければと思っています。
動画を活用してブランドの世界観をより伝えられるようご支援できればと思っています。

冨田 アプリを通して、機能的な価値に加えて、情緒的な価値もしっかりとユーザーに伝えていきたいです。

下谷 売上をさらに上げるために、会員ランクが上の人を優先的に抽選に参加できるようにするのも、ひとつの戦略だと思います。たくさん商品を買ってランクを上げようとしてもらえるかもしれません。

佐藤 そうですね。ダウンロード数やMAUアップだけでなく、売上に繋がりそうな施策や、追加機能なども、積極的にご提案していきます。

冨田 私たちも、ユーザーに毎日触れてもらえるような環境の質、サービスの質にこだわっていかなければと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。

interview-08

【会社概要】

1951年、富山県西部の小矢部市に、ゴールドウインの前身である株式会社津澤莫大小(メリヤス)製造所を設立。以来、スポーツウエア専業メーカーの道を歩む。 1963年、社名を株式会社ゴールドウインに改める。 1964年の東京オリンピックでは、ゴールドウイン製品が競技ユニフォームとして採用され、体操、バレーボール、レスリングをはじめとする、金メダリストの8割がゴールドウインのユニフォームを着用。 その後、エレッセ、ダンスキン、ザ・ノース・フェイス、ヘリーハンセン、スピードなど、世界の一流スポーツブランドと提携を結び、日本におけるスポーツ用品メーカーの地位を築く。

「ゴールドウイン」公式サイトへ

みなさまも、
ぜひダウンロードしてお使いください!