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公式サイトとECサイトの連携を
アプリ導入によってさらに密に
――アプリを導入しようと思われたきっかけを教えてください。
横山さん きっかけは、2018年4月に行われた弊社のデジタルメディアの大規模リニューアルです。公式サイトで発信する情報から、ECサイトの商品購入へつなげる流れをよりしっかり構築したいという社の方針があってのことでした。
ECサイトの売り上げが年々のびていることは数字で出ていたので、公式サイトとECサイトの連携をさらに密にする中で、アプリを導入すればその流れを強固にできるのではと考えました。
並木さん それまで、店舗では紙のスタンプカードの配布のみで、来店顧客の情報が会社全体で把握できていなかったんですね。アプリ導入によって、顧客管理を行うという目的もありました。それで同年6月にフルスクラッチで別のベンダーさんにお願いをしてアプリを開発し、リリースしたのです。
ところが、このときアプリをゼロから開発・運用することの難しさを実感しました。週末になると店舗のスタッフから「画面が白くなって表示されない」「次のページに進めない」などという問い合わせの電話が私たちのところにかかってきて。
こういうことが頻発すると、スタッフもお客さまにおすすめしづらくなりますよね。それで、これは変えないといけないな、と思い、展示会に通うなどしてアプリ刷新に向けて情報収集を始めました。
アプリはリリースがゴールではなく、スタート。
小売に特化し、ユーザーに寄り添う企業姿勢が導入の決め手に
――MGRe (メグリ)を選ばれた理由を教えてください。
並木さん 小売業に特化した機能に優れていたからです。導入前にメグリの方にいろいろご相談しましたが、例えば、旧アプリでお客さまが「お気に入り店舗」に登録していた情報は、MGReが提供する「店舗フォロー」機能として情報を引継げることがわかりました。
また、フォローした店舗の情報は「フォロー店舗ニュース」としてメニューに表示されるよう設計してくださるとのことで、旧アプリで可能だった機能にプラスの設計を考えてくださるので頼もしかった。しかも、MGReの標準機能でできる範囲だったため、プラスアルファの負担はありませんでした。
これまで以上に情報収集しやすく、使いやすいアプリとしてリニューアルできそうだと検討段階で確信できましたね。
横山さん また料金システムがアプリダウンロード数ではなく、MAU(※)数に応じているところも、運用する側としては魅力でした。1人でも多くのお客さまにアプリにさわって、そのよさを体感していただきたいと考える私たちと、日常的にさわるお客さまが増えればMAU数が上がって利益につながるメグリさんとは、同じ目的に向かって進んでいける“同志”です。
アプリリリース後のバックアップ体制もしっかりしており、「アプリはリリースがゴールではなく、スタート」とおっしゃっていただき、いい関係が築けるに違いないと感じました。こうして、2021年9月にリニューアルアプリをリリースしました。
※MAU:「Monthly Active Users」の略で、月あたりのアクティブユーザー数を示す。
多岐にわたる顧客層へのコンテンツ配信が可能に。
接客の質を高める会員証の出し分け機能
――アプリの機能でこだわった点について教えてください。
横山さん プッシュ通知、ニュース、クーポンなどのコンテンツを、お客さまの属性に応じて出し分けるセグメント配信ですね。弊社のお客さまはサーファー、ボディボーダー、スケーター、スノーボーダーなど多岐に渡り、さらに男性か女性かにも分かれます。
ですから例えば、女性のお客さまに男性水着の情報を配信しても意味がないんですね。MGReでは、アプリに登録されている会員情報に基づき、管理画面での簡単な操作でコンテンツの出し分けができるため、効果的な販促につなげることができます。
お客さま側にも「必要な情報が流れてくる、自分のためのアプリ」という認識が高まります。
並木さん 2022年4月からは会員ランク制度を導入しました。購入回数と購入金額に応じて「レギュラー」「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」にランクされ、ポイント付与率が変わる制度です。
会員証の出し分けだけでなく、ランクによって券面のデザインや色を変えることができるのはMGReの標準機能で、店舗スタッフからは大好評。会員証を見た瞬間にどのランクのお客さまかが判断でき、「いつもご利用いただきありがとうございます」とお声がけできるなど、接客に変化がつけられるからです。
このランク分けの基準についても、高額商品も多い弊社の特性などをふまえて設定していただきました。これだけ小売業にふりきったパッケージを持つアプリはほかにはないと思います。
顧客の「欲しい」気持ちを逃さない自動ログイン機能。
購入までに手が止まらないスピード感がウリ
――特にMGReにしてよかった点を教えてください。
横山さん すべてに関してユーザー目線であることですね。例えば、自動ログイン(※)機能。アプリにログインすると自動的にECサイトにログインされ、ログイン状態を維持できている機能は旧アプリにも搭載されていました。でもパスワードの再入力だけは省けなかったんですね。MGReでは、そのひと手間さえも必要がない。
興味のあるニュースが流れてきて、それをクリックして追っているとECサイトに飛ぶボタンがあって、「あ、これ欲しい」と思ったときに手が止まらず、つまずくことなく進んでいける。これはアプリを利用するお客さまにとってはストレスフリーですし、確実に売上アップにつながります。
並木さん トップページの自由度が高いことも嬉しいですね。弊社は季節ごとにさまざまなイベントの情報を発信し、フィールドやスキー場の予約ができ、現地で会員特典が得られるなどのサービスも行っています。これらのコンテンツを自分たちでトップページのニュースカテゴリーにタブとして自由に追加したり、非表示にしたりできるのです。
リニューアル前は、その都度ベンダーさんにタブ作成を依頼していました。記事は過去記事を保管して翌シーズンに表示することもできます。
横山さん 店内でアプリを起動するとオフラインでも自動的に会員証が表示される機能も便利ですね。弊社では電波の届きにくい屋外でイベントを開催することが多く、例えば、スキー場内の店舗で会員証を提示してアンケートに答えていただく、というようなことも可能となります。
※自動ログイン:アプリからECサイトへ自動でログインする仕組み。IDやパスワードを再入力する手間を省くシステム。
ECサイトの売上がアップ。
圧倒的な使いやすさ、さわりやすさが顧客からも店舗スタッフからも高評価
――アプリ導入後に、どんな成果が上がりましたか?
横山さん 数字面ではECサイトの会員数が増えました。これはアプリに会員登録をすると、自動的にECサイトの会員になる設定であることが要因として大きいですね。アプリ経由のECサイトの売上もリリース後すぐに20パーセントアップしました。
アプリの会員登録者数が増えた理由はいろいろ考えられますが、個人的には、以前に比べて圧倒的にさわりやすくなった、使いやすくなったというのは大きいと思います。情報も見やすくなりましたし。
並木さん 店舗のスタッフから、アプリの操作に関する質問が全くこなくなりましたよね。ユーザー数が伸びたのは、スタッフも使いやすさを実感し、お客さまに積極的におすすめしている結果でしょう。
(写真)湘南ビーチやスケートボードパークが徒歩圏内、波乗り帰りのサーファーが立ち寄るなど、横乗りスポーツ愛好家に魅力的な立地のムラサキスポーツ湘南鵠沼店。明るく開放的な店舗にあるサーフボードの品揃えは東南アジア1。サーフカルチャー、ビーチカルチャーの発信地としてローカルの注目を浴びる。
アクティブスポーツ愛好家にとって常に身近で、
必要とされるアプリに成長させていきたい
――今後、MGReで実現させたいことはありますか?
並木さん “商品を売る+α”の可能性をもっと広げていきたいですね。メグリさんとご相談の上での開発にはなりますが、例えば、店舗やECサイトで購入していただいたアイテムを各フィールドで受け取ってすぐに使えるように、現地の宅配ボックスに注文したアイテムが届いて、アプリの会員証で開けられるようにするとか。
弊社ならではのサービスの充実に役立てていくことが目標です。
横山さん 商品購入時以外も必要とされるアプリにしたいですね。例えば、コアな波情報とサーフィン情報を発信できるシステムを搭載して、それを見るためにアプリをさわってもらえるようにするとか、いいと思いませんか?
並木さん いいですね!それから、アプリの会員証で購買履歴が表示されるようになると便利かもしれません。お客さまはご自身の装備を確認できるし、店舗スタッフはその内容を見て、メンテナンスの時期や、新商品への買い換えどきをご提案するなど、接客に反映させることができます。
創業50年の弊社は、アクションスポーツの普及とその文化の発展に大きく貢献してきました。専門知識と経験が豊富な店舗スタッフの存在は、弊社の大きな強みです。培われた知識と経験にデジタル武装をさせることで、お客さまとの相互コミュニケーションを深め、売上という成果に導きたいですね。
横山さん これからは、やりたいことをメグリさんに積極的にご提案していきたい。こちらがご相談するといつも「それ、いいですね、やってみましょう!」と一緒になって前向きに検討してくださるので心強いです。パートナーシップをさらに深めていきたいですね。
【取材場所】ムラサキスポーツ湘南鵠沼店