コロナ禍がアプリ導入を後押し。
「いつか、やらなくては」が「すぐ、やろう」に

(写真)大江ノ郷自然牧場グループを運営する有限会社ひよこカンパニーの代表取締役、小原 利一郎さん

―― アプリを導入しようと思われたきっかけを教えてください。

小原さん 弊社は1994年に放し飼いの養鶏業からスタートした企業です。現在は、スイーツ専門のカフェやレストラン、食と農を体験できる施設運営や宿泊業など多岐にわたっていますが、原点は自社ブランドの平飼い卵「天美卵」の販売。そこから卵を使った牧場スイーツを皮切りに、美味しくて安心・安全な自社加工食品や地元特産品など商品を広げ、通販事業を中心に発展してきました。

ECサイトにはかなり力を入れてきましたが、実店舗に関してはアナログでしたね。ただ、消費者が商品・サービスを購入するまでの流れが多様化している今、オムニチャネル(※)化の必要性は感じていました。そのタイミングでのコロナ禍です。一時実店舗を閉めざるえない状況にもなり、先のことが不透明な世の中で、デジタル戦略の見直しは必須だと痛感しました。

「そのうち、やらなくては」から、「すぐ、やろう」という動きに加速がつき、アプリの導入を決めました。

大江ノ郷自然牧場ココガーデンの内観写真

大江ノ郷ヴィレッヂ内観写真(写真上)大江ノ郷自然牧場内にある“森の中のガーデンカフェ、スイーツアトリエ”をコンセプトとしたココガーデン。大江ノ郷自然牧場の名産品である天美卵などこだわりの食材で作られた無添加メニューの提供・食品販売をしている。
(写真下)同じく牧場内にある大江ノ郷ヴィレッジでは、自家製酵母を使ったパンの販売をはじめとし、カフェ、スナックスタンドやレストランなど、バラエティ豊かな飲食店で自然の恵みを楽しめる。ギフトサロンでは用途に合わせたギフト提案も行っている。

小林さん 実店舗では紙のポイントカードを配布し、その情報に基づいて新商品やイベントの案内をダイレクトメールで送っていました。定期的に毎月新聞に折り込み広告を入れるなどしていましたが、コロナ禍の収束が見えないなか、プロモーションにかける手間やコストも見直す必要が出てきました。アプリを導入し、こういった配信を一本化できれば、効率よく集客やECサイトの売上につなげられると考えました。

※オムニチャネル:店舗やECサイト、SNSなど、オンライン、オフラインを問わず、あらゆるメディアを活用して顧客と接点を作り、購入経路を意識させずに販売促進につなげる戦略のこと。

ユーザー側の目線で各社アプリを研究。 ストレスフリーが導入の決め手に

(写真左)企画チームリーダーの小林 潤子さん

―― MGRe(メグリ)を選ばれた理由を教えてください。

小原さん アプリに関して具体的な知識がなかったので、まずインターネットで勉強しました。アプリを開発しているベンダーさんのサイトを調べて、気になる企業のアプリを片っ端からダウンロードしてアプリの使い勝手を試してみたのです。

その結果、使用するお客さまにとってできるだけストレスがなく、ECサイトとの連携がスムーズであることが最重要と考えました。使っていくなかで、 MGReの自動ログイン(※1)機能はすばらしいと感じましたね。アプリにログインすると自動的にECサイトにログインされ、パスワードの再入力の必要がないのは感覚的に心地よかった。ストレスなく安心してECサイトで買い物が楽しめると感じました。

大谷さん 弊社のECサイトはフューチャーショップ(※2)のサーバーを利用しており、MGReとの連携プランがあるのも、セキュリティ面も含めて安心感がありましたね。

米村さん 見た目のデザインの美しさも大きかったです。弊社は社内デザイナーが自社におり、公式サイト、ECサイトほか、販促物の見せ方には非常にこだわっています。MGReは洗練されていてシンプルなため、ブランドの雰囲気や世界観をそのまま表現できると感じました。

小原さん コスト面も含めて運用する側、ユーザー側、両方の立場に立って考えたときに、必要となる要素が揃っていたのが決め手でしょうか。それで2020年の暮れにメグリさんに相談をして、2021年5月にアプリをリリースしました。

1 自動ログイン:アプリからECサイトへ自動でログインする仕組み。IDやパスワードを再入力する手間を省くシステム。

2 フューチャーショップ:(株)フューチャーショップが提供する、SaaS型ECサイトを構築できるサービス

→futureshop連携の詳細はこちら

情報はすべてアプリ経由でポケットに。
そのイメージをクローラー機能で実現

(写真)企画チームの大谷 賢作さん

―― アプリの機能で特によいと思った点、こだわった点について教えてください。

小林さん クローラー機能(※)ですね。弊社の ECサイトでは、商品の開発秘話や牧場の取り組み、材料を提供してくださる地元の生産者の方へのインタビュー、スタッフや、代表の小原の思いを伝えるコラムなど、さまざまな読み物コンテンツを充実させています。

「牧場のストーリーをお客さまに伝えたい」という思いで行っているのですが、クローラー機能によってアプリで配信できると、お客さまとの距離がぐっと近くなりますね。「アプリを単にモノを売るためのものではなく、お客さまとのコミュニケーションツールにしたい」という私たちの希望に寄り添っています。

大谷さん プッシュ通知、ニュース、クーポンなどのコンテンツを、お客さまの属性に応じて出し分けるセグメント配信も便利です。アプリに登録されている会員情報に基づき、管理画面での簡単な操作でコンテンツの出し分けができます。

この管理画面での操作が非常にシンプルで簡単なので、配信ミスなどが起こらないのは運用する側にとってはうれしいです。

小原さん ECサイトのコンテンツはさらに増える予定です。情報を得るために、いちいち検索をするのは面倒ですよね。アプリ導入前にイメージしていたのは、「大江ノ郷自然牧場のすべての情報がポケットに入っていて、いつでも取り出せる」という状態。それが、アプリによって実現できたと思います。

※クローラー(コンテンツ自動収集)機能:主要SNSであるInstagram、YouTube、Twitterに投稿しているコンテンツや、Webサイトに投稿したRSS対応のブログ記事を自動収集して、アプリのニュースとして配信する機能

ブランドの世界観を伝える
洗練されたデザインも可能なMGRe

(写真)デザインチームリーダーの米村 直也さん

―― 特にMGReにしてよかった点を教えてください。

米村さん ニュース機能を使ったトップページの表現の自由度の高さです。トップページは、すっきりとシンプルに美しく見せたいという希望がありました。そこで、商品やショップの新着情報、おすすめ記事などの画像がスクロールをする中で、コンテンツは切り離されているにもかかわらず、1枚の画像のようにつながって見えるように工夫しました。

本来なら、「NEWマーク」や、画像の下にタイトルを入れることが一般的なのでしょうが、それをしなかったんですね。MGReのニュースでは、マークや文字を入れるか否かが選べる仕様になっており、それが弊社には適していました。これは開発を進める段階で、メグリの営業の方と話をしていくうちにわかった機能で、うれしい驚きでした。

デザインは、見栄えよくお客さまに喜んでいただけることはもちろんですが、まずはスタッフが自信をもっておすすめできる楽しいものを、というコンセプトで考えています。今回のアプリも、私たちが見て気分が上がるような内容になったのはうれしいです。メグリさんからも「大江ノ郷自然牧場のアプリは洗練されていてきれいなので、営業の際にも好感度が高くて助かります」とおほめいただいています。

シニア層にも使いやすいインターフェイスが好評

―― アプリ導入後に、どんな成果が上がりましたか?

小林さん 紙のポイントカードで買い物をされていたお客さまのほとんどが、アプリに切り替えてくださいました。弊社のお客様はシニア層が多いので、苦手意識を感じられる方も多いのではという懸念も多少はあったのですが、誤解でしたね。

大谷さん アプリができたことは先にダイレクトメールでお伝えし、ダウンロード方法も記載しました。操作方法に不明点があれば、ご来店時にスタッフが丁寧に説明します。お客さまも、使いやすいと思ってくださっているようです。

新聞広告ほどの爆発力はありませんが、アプリをダウンロードしてくださったお客さまに対して、個別に情報をしっかりと配信できるため、確実に販促にもつながっています。アプリ経由でのECサイトの売上も上がっています。

さらなる売上アップを実現し、
鳥取の自然と食の豊かさをアプリを通して発信

―― 今後、MGReで実現させたいことはありますか?

米村さん 直近の目標としては、アプリ経由のECサイトの売上を全体の50パーセントまで上げたいですね。

MGReは、アプリリリース後のバックアップ体制がしっかりしているので、とても心強いです。「お客さまにクーポンを配信し、ECサイトでスムーズに買い物するという『成功体験』を積んでいただき、カスタマージャーニーマップ(※)を作って顧客の行動を分析、そこから次の仕掛けを考えましょう」といったように、具体的なご提案をいただいています。

小原さん 大江ノ郷自然牧場は、この10年で年間約35万人の方にお越しいただける場所に成長しました。次の目標として、鳥取県の人口と同じ57万人のお客さまに来ていただけるようにしたいと思っています。

牧場の発展だけでなく、地域との連携をさらに深めて地方活性化に貢献するための取り組みも始めています。今後はアプリというツールを核に、鳥取に新しい文化を築き、恵まれた自然や食の魅力を発信していく活動をさらに広げていきたいです。

※カスタマージャーニーマップ:顧客が商品やサービスを知ってから最終的に購買に至るまでのプロセスを示したマップのこと。

【取材場所】大江ノ郷自然牧場