メジャーリーグで利用されているアプリに触発され、導入を決意

―― アプリを導入しようと思われたきっかけを教えてください。

森さん 当選手会には約850名の選手が登録しており、その選手たちへの連絡や情報伝達をスムーズにしたいと思ったことがきっかけです。

アプリ導入前は、メールやショートメッセージを利用していたのですが、数が多いので膨大な時間がかかりますし、ショートメールは送信文字数に制限があります。また選手がきちんと読んだかどうかもわからず、その確認は双方にとっても手間。何か改善方法はないかと、数年前から模索していました。

そんなとき、アメリカのメジャーリーグ選手会と交流しているときに、「うちではこういう方法で行っているよ」と、アプリの存在を教えてもらったのです。アプリとは何か、当時はまだよくわかっていませんでした。

メジャーリーグの選手は、将来受給できる個々の年金の額を、試合後のロッカールームなどで気軽にアプリで確認していると聞き、幅広い使い方ができるツールというイメージが湧きました。それで導入を積極的に検討しはじめ、インターネットでベンダーさんを探し、4社ぐらいに話を聞きました。

アプリ初心者の不安に寄り添う姿勢
“信頼感”がベンダー選定の決め手

―― MGRe(メグリ)を選ばれた理由を教えてください。

森さん こちらのやりたいことと予算との兼ね合い、汎用性の高いアプリの実現が可能だったなど物理的な理由はたくさんあります。ですが、もっとも大きかったのはお会いしたメグリ(株)の方々のお人柄でしょうか。

アプリについてはほとんど知識がなく、クローズドとそうでないものの違いも曖昧なこちらからの質問に、一つひとつ丁寧に答え、相談にのってくださいました。実はメグリさんでは「クローズドアプリの開発は主軸ターゲットではない」とのことでしたが、非常に前向きに考えてくださったのです。

「やりたいことの実現に向けて一緒に考え、問題点を解決していきましょう」という姿勢に信頼感が湧きましたね。

アプリは一度立ち上げたら、簡単に変えることはできません。ですから、人と人との関係は大切にしたいと思いました。メグリさんとなら、密にやりとりをしながら、長くお付き合いができそうだと感じました。

また、社内に野球好きの方がいらっしゃり、観戦はもちろん、過去に甲子園球児だったり、お子さんの野球チームのコーチをされている方がいらっしゃるなど、野球に関する理解が深い点も嬉しかったです。

―― はじめてのアプリ導入に対し、もっとも大きかった不安はなんでしょうか?また、それをどのように払拭されましたか。

森さん クローズドアプリであるため、個人情報の管理と、外に漏れてしまうことはないかというセキュリティ面がもっとも心配でしたね。

これに関しては、メグリさんが多方面から調査をし、既存の会員基盤と問題なく連携をしてくださったことで解消されました。メグリさんが非常に慎重に考えてサポートしてくださったことは心強かったです。

選手が自主的に利用できる機能の充実で
事務やコミュニケーションを快適に

―― アプリの機能で特にこだわった点について教えてください。

森さん 選手会から一方的に情報を流すのではなく、選手に積極的に活用してもらえる使い勝手のよいアプリにしたいという目的がありました。どういう機能があったら便利か、実際に選手にも聞いてまわりました。

特にこだわったのは、登録日数を選手が自分で確認できる機能です。選手が希望する球団に移籍できたり、条件の交渉が可能となるフリーエージェント権(FA)を取得するためには、シーズン中に一軍に登録された日数が規定に達さなければなりません。また登録日数は年俸にも関係するため、選手たちは常に気にしています。

アプリにログインをし、トップページの下にある下タブの中から「登録日数」を選んでタップし、球団名と背番号を入力するだけと、確認の手順は非常に簡単です。

選手会アプリのUIイメージ画像

下タブには「お知らせ」「事務局」「カレンダー」「マイページ」があります。「お知らせ」をタップすれば、選手会からの連絡事項やニュースを見ることができ、「事務局」からは事務局員や顧問弁護士の緊急連絡先へ飛べ、「カレンダー」からは、試合の年間スケジュール等を検索できます。

また「マイページ」タブから入れる個人情報のページでは、選手が自分で住所やメールアドレスなどの変更を行えるようにしました。もともとMGReの標準機能は、見た目も使いやすさにも優れていたので、こちらが持っているデータをそのまま移行する形でスムーズに進みましたね。

検索等の手間がかからず、タップ一つで必要な情報が手に入ったり手続きができるというのは、アプリならでは大きな利点だと思います。

約850名の選手がほぼ全員インストール。
業務効率化の効果が顕著に

―― アプリを導入後に、どのような成果が上がりましたか?

森さん 第一に業務の効率化です。例えば選手の住所変更ですが、以前は毎年2月の春季キャンプシーズンに用紙を配布して手書きで記入してもらい、回収して作業を行っていました。これらの事務局側の膨大な手間が一気に解消されましたね。

また登録日数に関しても、アプリ導入前は選手からメールや電話での問合せがたびたびあったのですが、なくなりました。

業務効率化は事務局側だけでなく、選手にとってもメリットがあるようです。「登録日数が検索しやすく、思い立ったときにすぐに確認できるので助かる」「引っ越したタイミングで住所変更ができるので便利」などの声が届いています。

また以前は紙で配布していたアンケートもアプリで回答できるようにしたため「手書きで返送するより楽なので、答えようという気持ちになる」など、使いやすさに関しての評判は上々ですね。

初動も良く、2022年1月末のアプリリリースから、1カ月の間に約850名の選手のほぼ全員がインストールを完了しました。そのうち、毎月200名ほどが何かしらの理由でアプリを使っていることが、管理画面から確認できています。ニュースもしっかり見てもらえているようなので、全選手に素早く情報を伝達できているという感触があります。

ちょうどコロナ禍で、対面で話をすることが難しい状況でアプリを導入できたことは、タイミングとしてよかったと思っています。

迅速な対応と心配りのバランスに優れた
メグリ担当者のサポート

―― 特にMGReを選んでよかった点を教えてください。

森さん 2021年12月初旬、正式にお願いしたタイミングから、「翌年2月の春季キャンプまでには間に合わせたい」というこちらの都合に迅速に対応してくださったことです。最初に見せていただいたデモアプリから、ほぼ完璧な状態でした。

あとは、最初にも申し上げましたが、担当の方々の人間性の高さですね。例えば、アプリを選手にインストールしてもらうには、選手一人ひとりに直接会い、それぞれ異なる特殊なQRコードをスキャンしてもらう必要がありました。

これについては「選手と事務局の方にご負担をかけることになりますが、大丈夫ですか」と、アプリ導入前に確認してくださいました。利点だけでなく、デメリットとなる部分も明示してくださるところに、誠実さを感じましたね。そのうえで、選手に配布するためのアプリ利用マニュアルも作成してくださり、手厚くフォローしてくださいました。

さらに使いやすく、選手の日常を彩るアプリに成長させたい

―― 今後、MGReで実現させたいことはありますか?

森さん 自動ログイン(※1)機能の搭載です。これはすでに検討していただいています。現状ではログイン状態が保持できず、マイページに入るには都度ログインが必要です。MGReの特徴でもある自動ログイン機能が備われば、さらに活用しやすくなると思います。

また引退したOB選手でも使えるようにするシステムや、セグメント配信(※2)が可能になれば、例えば将来OB向け、現役選手向けに情報を出し分けられますね。

それから、メグリさんのクライアントである高級アパレルブランドや百貨店とのコラボ企画も進行中です。これらのクライアントさんに選手会専用のページをつくっていただき、そのバナー広告を選手会のアプリ内に貼り、ページに飛んでお得な情報などが見られるシステムです。

こういった取り組みは今後、メグリさんのご協力を得ながらどんどん行っていきたいですね。趣味の充実のためなど、選手が日常的に楽しみながら使えるアプリに育てていければ理想です。

※1 自動ログイン:アプリからECサイトへ自動でログインする仕組み。IDやパスワードを再入力する手間を省くシステム。

※2 セグメント配信:プッシュ通知やポップアップ、ニュース、クーポンなどを、ユーザーの性別や住まいなど、属性に応じて出し分けができるシステム。