SaaS型アプリマーケティングプラットフォーム「MGRe(メグリ)」は、ECプラットフォームやCRM、マーケティングツールなど、外部システムと柔軟に連携できることが特長です。
クライアントが使用している各種システムとアプリを連携させ、アプリの機能を拡張することで、クライアントごとのニーズに応えてきました。
ランチェスターがアプリの拡張性を重視している理由と、柔軟なシステム連携を実現するMGReの設計思想について、取締役CPOの佐藤伸彦が語ります。
アプリを介して企業と顧客の良好な関係を構築
─ MGReが外部システムとの連携を重視しているのは、なぜでしょうか。
佐藤 本質的なアプリマーケティングを行うには、アプリと顧客情報の連携が不可欠だと考えているからです。本質的なアプリマーケティングとは、アプリを介して、企業と顧客の良好な関係を構築する取り組みです。
現代はさまざまな商品がコモディティ化し、機能や価格だけで商品を差別化することが難しくなっているように思います。こうした時代に商品を売るには、自分たちのブランドに共感してくれるファンを増やすことが重要ではないでしょうか。
メーカーや小売企業がファンを増やすには、2つの要素が必要だと思います。1つは、顧客ごとに最適な情報を提供すること。すなわちOne to Oneマーケティングです。 企業が蓄積したさまざまなデータを一元管理して分析し、そのデータをマーケティング施策に活用することで顧客ひとりひとりに最適なコンテンツを提供していく。その取り組みを通じてファンを増やしていくことが大切だと考えています。
そして2つ目の要素は、販売チャネルを問わず、顧客にとって快適な購買体験を提供すること、いわゆるOMOの取り組みです。 ECサイトと実店舗のポイント共通化や、アプリとECサイトをシームレスに行き来できるUXなど、オンラインとオフラインの隔たりをなくし、チャネルの違いを意識せずにシームレスな購買体験を提供できる環境づくりが重要だと思います。
これら2つの要素を実現するために、アプリにどのような機能が必要かを考えていくと、多くの企業はアプリと外部システムのデータ連携が必要であるという結論に達するでしょう。
─ メーカーや小売企業を取り巻く市場環境を踏まえると、外部システムと連携できて、拡張性が高いアプリが必要なのですね。
佐藤 弊社では、そのように考えています。実際、アプリ開発について弊社に問い合わせをくださる企業の中には、既存のアプリの拡張性に課題を持っているケースが少なくありません。アプリに機能を追加したくても、アプリに拡張性がないために実現できない。そのことが事業の成長のボトルネックになっているのです。
MGReをリリースして約1年半になりますが、拡張性が高いことを理由にMGReを選んでくださった企業さまは数多くいらっしゃいます。そういった実績からも、多くの企業が拡張性の高いアプリを求めていることを実感しています。
アプリの機能を段階的に拡張
─ MGReは設計段階から、外部システムと柔軟に連携できるプラットフォームを目指していたそうですね。
佐藤 はい。アプリをつくる目的や、企業さまが実現したいサービスなどに応じて、企業さまが使用している外部システムと接続できるようにMGReを設計しました。
MGReはSaaS型のプラットフォームであり、コア機能や基本的なUIはすべての企業さまに対して共通化しています。それにより、迅速に、かつ初期投資を抑えてアプリを開発することが可能になりました。
た、共通部分のバージョンアップはすべての企業さまに適用されますから、企業さまは常に最新バージョンを使用できます。こうしたSaaS型のメリットと、アプリの拡張性を両立しているのがMGReの特長です。
─MGReのプランによって、拡張性に違いがあるのでしょうか。
佐藤 短期間でアプリを導入できる「エントリー」は、原則として外部システムと連携することはできません。
「スタンダード」は、MGReがパートナー提携しているECプラットフォームやCRMシステムと標準連携したプランです。あらかじめ連携済みのシステムをパッケージ化して提供しているため、新たに開発の必要がなく、コストも期間も最小限でご提供でき、短期間でアプリマーケティングのご支援が可能です。 現在はECプラットフォームの「futureshop」とポイントシステムや顧客管理(CRM)は「CROSSPOINT」とパートナー提携しています。今後もパートナー先は拡大していく予定です。
「エンタープライズ」は、上記以外のシステムとの連携が必要な場合にご提供しています。基本的にはAPIを開放しているシステムであれば連携可能です。 企業さまが使用している各種システムに個別にカスタマイズして接続します。
短期間でアプリを導入できる「エントリー」から、柔軟にシステム連携を行える上位プランへと移行することで、事業フェーズに応じてアプリの機能を拡張できる
アプリを起点にOne to Oneマーケティングを実現
─ MGReで構築したアプリは、外部システムとどのように連携できるのか教えてください。
佐藤 MGReは「エントリー」「スタンダード」「エンタープライズ」の3つのプランがあり、上位版の「エンタープライズ」をご契約いただくと、APIでさまざまな外部システムと連携することができます。
ECプラットフォーム、CRM、マーケティングオートメーションツール、ビジネスインテリジェンスツール、レコメンドエンジンなど各種システムと連携し、アプリの機能を拡張することで、アプリマーケティングの幅を広げることが可能です。
─MGReをECサイトやCRMなどに連携すると、どのような機能やサービスが実現するのでしょうか。
佐藤 例えば、アプリ内外のデータを活用し、会員向けにセグメント別にプッシュ通知を行うことができます。 実店舗やECサイト、アプリなどで蓄積した会員情報・購買データ・行動データを掛け合わせてセグメント別に商品レコメンドやクーポンなどをプッシュ通知で届けるといった施策です。
ユーザーの位置情報なども活用すれば、さらにきめ細いコンテンツの出し分けも可能になります。アプリを起点にOne to Oneマーケティングが実現するということです。
アプリ内外のデータを活用してセグメント配信を行うなど、コンテンツ発信のパーソナライズ化が実現する
佐藤 システム連携によって実現できることは、One to Oneマーケティングに限りません。
例えば、MGReにはSSO(シングルサインオン)を利用して、アプリからECサイトへ再ログインの必要なくスムーズに遷移できる「自動ログイン」という仕組みを提供しています。 これにより、アプリ上でのオンラインショッピングもストレスなく顧客へ提供できます。
そのほか、アプリをインストールしてすぐに使える仮会員証機能や既存のポイントシステムとの連携なども実現可能です こうした機能は実店舗やECサイトにおける顧客の買い物体験の向上に直結します。いわゆるCX(顧客体験)の向上です。こうした顧客にとって”使いやすいアプリ”の提供が売上の拡大にもつながるでしょう。
システム連携のプロジェクトマネジメントも支援
─ 企業が導入しているシステムは、企業ごとにバラバラですし、独自に開発したシステムを使用している場合もあると思います。外部システムとの連携に制限はないのでしょうか。
佐藤 対向先(連携先)のシステムがAPIを解放していれば、原則としてどのようなシステムでも連携することは可能です。難しいシステム開発にも対応できることが、弊社の強みだと自負しています。
弊社は2007年の創業から10年以上、受託開発を手がけていましたし、MGReの前身であるEAPというアプリ開発のサービス(2020年にMGReとしてリブランディング)は企業さまごとにカスタマイズすることを前提としたパッケージでしたから、個別のニーズに合わせたシステム開発の経験は豊富です。
アプリを企業さまに提供してからも、企業さまのニーズを可能な限り叶えるために、個別に対応することを大切にしてきました。それはMGReをリリースしてからも変わりません。
企業さまがアプリのシステム連携を希望する場合、カスタマーサクセス部の「プロフェッショナルサポートチーム」が企業さまのシステム連携を支援します。対向先のベンダーと企業さまの間にプロフェッショナルサポートチームのスタッフが入り、プロジェクトマネジメントを行うこともあります。
─ システム開発を行うだけでなく、プロジェクトマネジメントまで支援すると。
佐藤 はい。なぜプロジェクトマネジメントまで支援するかというと、企業さまだけでシステム連携のプロジェクトを進めるのは、現実的には難しいことが多いためです。
エンジニアではないマーケターやEC担当者が、システム連携の仕様をベンダーに指示するのは難しいでしょう。アプリ運用の担当者を支援するために、プロジェクトマネジメントにも積極的に関与します。
─ アプリをリリースした後も、企業さまの要望を叶えるためにシステム開発を行う体制があるのですね。
佐藤 アプリはリリースすることがゴールではなく、アプリマーケティングを通じて企業と顧客の良好な関係を構築し、業績拡大につなげていくことが目的です。
弊社はアプリを企業さまに提供した後も、企業さまの事業フェーズや目的の変化に合わせて外部システムとの連携をサポートすることで、アプリのアクティブユーザー数やアプリ経由の売上高など、具体的な成果につながるアプリマーケティングを支援していきます。