アパレル企業のアプリ導入成功事例を5つ紹介!売上アップのコツと注意点

アフターコロナの今、顧客の購買行動は多様化しています。

ECサイトをはじめとしたデジタルでの購買需要は年々高まっていることもあり、顧客との接点の作り方を見直しているアパレル企業は多いでしょう。

店舗への集客促進や、ECサイトでの買い物体験を向上するうえで、オンラインとオフラインのハブ的存在になるのが「モバイルアプリ」です。

そこでこの記事では、アパレル企業の店舗マネジメントやEC担当者の方に向けて、アプリ導入により成果を上げたアパレル企業の成功事例を5つ紹介します。

アプリ導入の成功事例だけでなく、失敗しないための注意点も最後にお伝えしていくのでぜひ参考にしてみてください。

<こんな方におすすめ>

  • アプリ導入を検討している、または興味がある
  • 店舗やECサイトの売上を上げたい
  • リピーター獲得に課題がある

 

>>アパレルアプリの制作については、MGRe(メグリ)までご相談ください。

アパレルアプリの成功事例

ユニクロ顧客データを活用し、世界に羽ばたくカジュアルウェア企業へ

ユニクロアプリファーストビュー

「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは、日本を代表する企業であるだけでなく、アパレル業界で世界3位の売上を誇るグローバル企業(※)です。

ユニクロのDX元年は、2015年にITインフラの刷新のため、DXに明るいコンサルティング会社であるアクセンチュア(株)と提携したことに始まります。

既存システムに格納されていたデータのクラウド化や、CRMなどのマーケティング基盤を整えることで、DX化を促進しました。

2017年には自らを「情報製造小売業」と呼び、顧客データを活用してよりサービスを改善するため有明プロジェクトを始動します。

有明プロジェクトの全体像

■出典:「有明プロジェクトについて~“情報製造小売業”の実現に向けて~」

有明プロジェクトは、「顧客一人ひとりとダイレクトにつながった、双方向の情報発信」を土台として進められました。


顧客はアプリを通じて企業に直接要望を伝え、企業は顧客の意見をもとに商品を作ったり、顧客へダイレクトに情報発信をします。

このサイクルを高速で回転させることで、より顧客のニーズにあった商品やサービスが生み出されるのです。

また、購入商品の店舗受取や、ユーザーにぴったりなサイズを提案する「MySizeAssist」など、店舗とECが連動したさまざまなサービスの提供を開始しています。

MySize ASSISTのイメージ画像

■出典:ユニクロ「MySize ASSIST」

他にも、LIVEで商品紹介する「UNIQLO LIVE STATION」など、顧客を楽しませる幅広いコンテンツを発信しています。

UNIQLO LIVE STATIONの様子

■画像:「UNIQLO LIVE STATION」アーカイブより

「お楽しみコンテンツ」内にある「STYLING BOOK」では、公式スタイリングに加えて、店舗スタッフや顧客のコーディネートを紹介する「StyleHint」に投稿されたスタイリングもチェックできます。

公式アプリ内のStyleHintページ

なお、StyleHintはオリジナルアプリとして独立もしており、GUなどの他ブランドも混ぜたコーディネートを参考にできます。

StyleHintアプリの見え方

■画像:「StyleHint公式サイト」より

SNSでの情報発信に加えて、独自のチャネルからも、一人ひとりに寄り添った発信をしています。

データを元に小さな改善を積み重ねることで利便性も上がり、2021年の調査では、ファストファッション6ブランドで最も利用率が高い公式アプリとなりました。

最も利用率の高い公式アプリランキング(2021年)

出典:株式会社スパコロ「有店舗サービス公式アプリ利用に関する調査 ファストファッション編」(https://corp.supcolo.jp/fastfashion/

さらに近年では「EC本業化」を掲げ、グループ全体のEC化率(すべての商取引において、EC(電子商取引)の市場規模が占める割合)は約18%まで拡大。

コロナによる打撃はあったものの、「シンプルで上質」がウリのユニクロにとってはむしろ追い風に。

ユニクロの進化はさらに続いていくでしょう。

※記事公開時点の順位、ファーストリテイリングIR情報による

POINT
  • 顧客データの活用に重きを置き、膨大なデータが集まるプラットフォームを築いた
  • ECサイトやアプリ上の顧客の行動データから、顧客の求める商品やサービスを予測
  • スタイルヒントやライブステーションなど、新しい情報発信チャネルを独自で開発

■参考:株式会社ファーストリテイリング「業界でのポジション | FAST RETAILING CO.,LTD.」「有明プロジェクトについて~“情報製造小売業”の実現に向けて~」

ZARAライブコマースやショールーミングなど最先端のDX施策

ZARAアプリファーストビュー

ZARAを展開するインディテックスは、2022年1月決算で過去最大のEC売上を記録するなど、近年めざましく成長している企業です。

CEOのオスカー氏は、近年の成長の要因として「DX施策」を挙げています。

ZARAは、これまでにショールーミング店舗の実験やライブコマースなど、さまざまなDX施策を行ってきました。

なかでも、モバイルアプリは店舗で利用できるさまざまな機能が備わっており、顧客がより快適に買い物をするために役立つツールとなっています。

ZARAアプリの「ストアモード」を起動すると、欲しい商品が店舗のどの位置にあるか一目でわかるマップが表示されます。

ZARAアプリマップ&試着室予約システムの表示画面

試着室の予約もアプリからでき、利用可能になればスマホにプッシュ通知が届きます。

試着室の近くで待つ必要がなくなり、ショッピングの時間をより効率的にできる点は顧客にとって大きなメリットでしょう。

他にも、撮影した写真から商品を検索する機能など、店舗での顧客体験を高める機能が備わっています。

最近では、アバター作成スマホアプリ「ZEPETO」を通じて、メタバースにも進出。

自身のアバターをZARAコーデにできるサービスは、アイデンティティーを重視するZ世代の考え方ともマッチしており、先進的な試みと言えます。

ZEPETOに関するTwitter投稿

■出典:https://twitter.com/zepeto_jp/status/1508745917876387851

POINT
  • アプリで店舗での商品位置や試着室の予約ができるようにして、顧客体験を向上
  • ショールーミングやライブコマースなど、さまざまなDX施策を行っている
  • メタバースにも進出するなど、先進的な取り組みを行っている

アーバンリサーチ小さな「不の解消」を重ねて満足度を向上

アーバンリサーチのアプリファーストビュー

アパレル事業を中心に、全国に約250店舗を展開するアーバンリサーチ。

アプリのリニューアル以前は「サイトが重い」「適切な検索結果が表示されない」などの声もあり、課題も多かったようです。

しかし、マイナス要素を徹底的に取り除き、使いやすさを追求することで満足度を高めることに成功しています。

たとえば、試着ができないオンラインでの購入は、サイズが合わない不安を取り除くことが課題です。

服のサイズはデザイナーやブランドによっても異なるため、ほかの人が「ぴったりサイズ」と評価した服が、自分に合うかどうかわかりません。

そこで、同社では独自のレビューエンジン「ZETA VOICE」を導入しました。

購入者レビューの中から、自分と似た体格やライフスタイルの人のレビューを検索し、より参考になるレビューを提案します。

レビューの表示画面

レビューを見ることで利用シーンなどのイメージしやすく、購入を後押ししています。

また、ショップスタッフが撮影したコーディネート写真を投稿する「スタッフスタイリング」も人気のサービス。

コーディネート表示画面
自分の体型に近いスタッフのコーディネートを参考にすることで、サイズが合わないという失敗を減らせます。

なお、このサービスには「STAFF START(スタッフスタート)」という仕組みが利用されています。

STAFF STARTとは、洋服のコーディネートをはじめとした、店舗スタッフの知見を顧客に届ける新感覚のWeb接客サービスです。

STAFF STARTのサービスイメージ

スタッフが投稿したコーディネート経由で商品が購入された場合、売上は投稿したスタッフに紐付くので、評価や実績に反映されてモチベーションアップにつながります。

>>スタッフスタートについてはこちらで詳しく紹介しています

POINT
  • 細かなマイナス要素も地道に解消することで、顧客満足度を向上
  • レビューの絞り込みの精度を高めることでサイズの不安を解消し、購入を後押し
  • 「STAFF START」を活用して、店舗スタッフのモチベーションをアップ

ゴールドウインアプリ〜EC間を自動ログインでシームレスに

THE NORTH FACEのアプリファーストビュー

株式会社ゴールドウインは、「THE NORTH FACE」や「HELLY HANSEN」などを展開するスポーツアパレルメーカーです。

アプリのリニューアル前は、アプリをダウンロードしてから会員バーコードを表示するまでに、会員登録・ログインといった手順がありました。

その際、ログイン後には会員バーコードを出すためのメニューを辿っていかなければならず、ブラウザ表示の読み込み完了まで待つ時間も必要でした。

これらのような複数の手順があると、レジでの利用時に後ろで待っている他の顧客を気にしたり、操作が面倒に感じられてしまうことによって、アプリ利用へのモチベーション低下の要因となります。

また、顧客が会員バーコードの利用をためらってしまうと、商品情報と顧客情報が紐づかず、購買データが蓄積されないため、重要な課題となっていました。

リニューアルしたアプリでは、ログインなしですぐに会員バーコードが表示できるようになり、物理カードからアプリへの移行もスムーズになっています。

リニューアル後はアプリのダウンロード数も増え、店舗スタッフから「アプリで会員バーコードを出す人が増えた」という声も多くなりました。

また、EC面では自動ログインを導入し、アプリからECに飛ぶ際のシームレスな環境を実現しました。

買い物のしやすさからアプリ経由での売上も増え、アプリを使う人が増えればさらにデータも貯まりやすくなり、データを活用することで次のユーザー獲得につながる、という好循環が生まれています。

POINT
  • ログイン不要ですぐに会員バーコードが出せるように変更
  • 物理カードからアプリへの移行が進み、店舗で会員バーコードを出す顧客が増えた
  • 自動ログインによって買い物がしやすくなり、アプリ経由での売上がアップ

この事例についての詳細は、弊社インタビュー記事にて触れられています。気になる方はご覧ください。

また、この事例のようにECや店舗とアプリの連携について気になる方は、弊社担当者までご相談ください。

EC・店舗の連携について聞いてみる

PINK HOUSEガラケーからアプリの刷新でもスムーズな移行

PINK HOUSEアプリのイメージ画像

株式会社メルローズは、女性に根強い人気のファッションブランド「PINK HOUSE」などを展開するアパレルメーカーです。

ブランドの中心顧客年代層が40〜50代のため、これまではガラケーを中心としたシステムを採用していました。

しかしリニューアルによって、ガラケーから、アプリを中心としたシステムに変更。

入会を促す際、これまではユーザーに空メールを送るように促す必要がありましたが、現在はアプリをダウンロードするだけとなり顧客の負担が減りました

ガラケーとスマホの登録手順の違い


導入がより手軽になったことで、顧客からも現場スタッフからも評判が良く、ランニング費用はメルマガと比較すると6割以上も減少しました。

また、以前は店舗やブランドごとに別々だったポイントも統合し、新たな会員プログラムへ移行。

店舗とECのポイント共通化を表したイメージ図
1年間の購入金額に応じて、ポイント還元率や特典がグレードアップするロイヤリティプログラムも設定し、ロイヤルカスタマーの形成に取り組んでいます。

約6,000名いたメルマガ会員数のうち、アプリ導入から半年でほぼ同数のダウンロード数に到達。毎月ダウンロード数も順調に伸びています。

ガラケーからアプリというシステムの大幅な刷新にもかかわらず、スムーズな移行に成功した事例と言えます。

POINT
  • 運用が手軽になったことで、ランニングコストが6割減少した
  • ロイヤリティプログラムを用意することで、ロイヤルカスタマーの形成に取り組む
  • ガラケーからアプリへの大幅な刷新でも、スムーズに移行が完了した

こんなケースは失敗しやすい!アプリ導入の注意点

アパレルアプリの成功事例を見ていると、期待が大きくなり、導入を急ぎたくなるかもしれません。
しかし、アプリはすべての課題を解決できるツールではありません

闇雲に導入してしまうと、思うような成果を得られない可能性もあります。

アパレル企業がアプリを導入する際の、ありがちな失敗例をお伝えします。

【1】場当たり的に導入してしまう

「競合企業がアプリを持っているから」などの理由で、場当たり的にアプリを導入してしまうことが失敗要因の1つとなります。

アパレル業界は、服のデザインや素材だけでは差がつきにくいため、差別化が難しい業界でもあります。

差別化を行うためには、顧客の特徴を押さえた上で、ブランド独自の世界観やメッセージをわかりやすく発信していく必要があるでしょう。

成功している企業の動きを参考にするのは素晴らしいことではありますが、それ以上に自社の顧客と提供サービスの関係に目を向けることが大切です。

【2】アプリの役割が明確になっていない

アプリのメリット・デメリットをしっかりと押さえておらず、アプリの役割が明確になっていないことも失敗する要因です。

アプリは、既存顧客それぞれにカスタマイズされた情報を届ける手段として、ベストな手段と言えます。

しかし、最初にまずダウンロードしてもらうというハードルがあるため、新規顧客の開拓には向きません

このようなアプリの特性を踏まえた上で、経営課題の解決にアプリがどう活かせるか検討しましょう。

【3】オフラインも含めた顧客体験が設計できていない

顧客に選ばれ続けるためには、オンラインとリアル店舗を通じて、一貫性のあるサービスを提供することが重要です。

・店舗とオンラインで共通のポイントが使える
・アプリで注文した商品が、店舗でも受け取れる
・来店した顧客情報とEC上の顧客情報が紐づいている

など、オンラインとオフラインの両方の視点から全体の顧客体験を設計し、その上でアプリの役割を明確にしましょう。

まとめ

アプリを有効に活用することで、多くの企業が売上アップに成功しています。

しかし、本当にアプリが必要かどうか検討せず、場当たり的に導入してしまうと失敗につながります。

導入を検討する際は、費用面やスケジュールなども気になるところです。

MGRe(メグリ)では、経営課題の解決を前提としたアプリ制作を大切にしており、「あなたの企業にとってアプリが必要かどうか」も一緒に考えながらサポートします。


アプリ導入に迷ったときや、開発に関するお悩みが出てきた際には、お気軽にお問い合わせください。

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